電波プロダクトニュース



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日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
6月15日050615_01 松下電器 半導体集積回路 専用IC 一般民生用

サファイア基板採用により準ミリ波UWB帯で高信号品質を確保した窒化ガリウム・モノリシックマイクロ波IC



松下電器は、20-30ギガヘルツ帯の準ミリ波UWB(ウルトラワイドバンド)無線システムで求められる高周波特性と高耐圧特性を持つGaN(窒化ガリウム)MMIC(モノリシックマイクロ波IC)の開発に成功した。

従来のSiC(シリコンカーバイト)基板に代えてサファイア基板上に超高周波特性を有するヘテロ接合FETと容量素子などを1チップ集積することで、22ギガヘルツの準ミリ波帯で最小雑音指数2.6デシベル(従来SiC基板の場合2.9デシベル)、信号増幅率13デシベル(11.8デシベル)、入力時3次インターセプトポイント(IIP3)7.5デシベル(7.5デシベル)の高信号品質を確保した。サージ耐圧も保護回路なしで150ボルトまで高めた。チップサイズ2.6×1.3平方ミリ。

準ミリ波UWB帯のMMICでサファイア基板上に実用レベルのGaN MMICを形成したのは世界で初めて。従来のSiC基板に比べ基板コストを10分の1に、トータルコストは約5分の1に抑えることができるとみている。

ドライバの視覚補助用などに採用が進むと期待されている車載用レーダーセンサーをはじめ、次世代ブルートゥースなどの高速PAN、USB/USB2/W1394の短距離リンク、モバイルコマース、UWB-SDカードの無線ICカート用など07年度をメドに商品化する予定。

MMICの素子間を接続して高周波信号伝送を行うコプレーナ線路の信号線幅を4-50マイクロメートルに、ギャップ幅を20-30マイクロメートルに、コプレーナ線路長を約2ミリにし、SiC基板に比べ高周波損失の小さいサファイア基板を採用することで、サファイア基板上の線路損失を低減できた。

また、膜厚5ナノメートルのAlGaNとGaNを交互に14層重ねた多層構造を採用し、従来のGaNコンタクト構造に比べ、電極からトランジスタに電流が流れ込む時のコンタクト抵抗を3分の1に抑え、FETに流れる電流密度を3倍にした。これにより準ミリ波帯にまで動作周波数が上がり、増幅特性の向上と低雑音化を実現できた。

AlGaN層は塩素ガスで、GaN層はフッ素系ガスと塩素の混合ガスで交互にエッチングする独自の低ダメージ、原子層レベルの精密制御による選択ドライエッチングを採用。ゲート直下の越格子薄膜を除去し、AlGaN/GaN超格子のリセス(凹部)構造を形成し、素子の高周波特性を上げた。リセスに電子ビーム露光法でゲート長さ0.18マイクロメートルの微細T型ゲートを形成。140ギガヘルツの高い動作周波数を実現した。

これらの開発成果は、11日から米国カリフォルニアで開催中のIMS2005で現地14日発表する。

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