電波プロダクトニュース



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日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
3月13日070313_02 新潟精密 半導体集積回路 マイコン・DSP 一般民生用

DSP処理によるAM/FM/RDSRBDSホームラジオチューナ用フルCMOS1チップIC




 新潟精密(東京都港区、池田毅社長)はこのほど、世界初となるフルCMOSワンチップのAM/FMホームラジオチューナ用IC(商品名=NS954シリーズ)の開発に成功した。従来は、アナログ処理していた回路を、CMOSの特性を生かした専用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)でデジタル信号処理し、さらに、高周波アナログ回路をワンチップに混在させたミックスド・シグナル化を図ったもの。同ICを使用することで、セラミックフィルターなどのAM/FMホームラジオチューナの構成部品点数を大幅に削減でき、セットの小型高性能化やコストダウンが図れる。

 新製品は、DSP処理によるフルCMOSワンチップのAM/FM/RDS・RBDS(ラジオデータシステム)ホームラジオチューナ用IC。パッケージ寸法は、6.0ミリ角(QFNパッケージ)。

 ミニコンポなどに搭載されるAM/FM/RDS・RBDSホームラジオチューナは、高度で多くの特性規格要求から、現在はバイポーラやバイCMOSを使用して2―3個のICで構成されており、フルCMOSワンチップ化ができなかった。今回のNS954シリーズは、CMOSの特性をフルに生かし、AM回路では、LNA(高周波低雑音増幅器)だけアナログ回路、それ以降はすべてDSP処理している。このため、イメージ信号除去率が極めて大きく、その影響を一切受けない。LNAは、フリッカ雑音の小さいPチャンネルFETを採用。FMは、LNAから中間周波増幅回路までをアナログ処理し、それ以降はDSP処理を実施。その結果、現在のバイポーラトランジスタと各特性で同等以上の性能が得られた。

 同シリーズを活用してチューナモジュールを製品化すると、ICは1個で使用される電子部品は(1)現在は3個程度使われるセラミックフィルターは完全に不要(フィルターのスカート特性は極めて良好)(2)5個程度のバラクタダイオードと(3)6個の中間周波トランスも不要となる。ほかの部品も含め、現在は187個以上使用されている外付け電子部品を、NS954シリーズ使用のチューナでは11―12個まで減らすことができ、部品点数の9割以上の削減が可能。さらに、DSP処理により調整も不要で、サイズは従来比10分の1以下に小型化が可能。

 ブロック同期、エラー訂正が付いたRDS/RBDS回路、12Sフォーマットのデジタルオーディオ出力などを内蔵。これによりソフトウエア処理を軽減し、オーディオ性能が向上する。フルCMOSワンチップの基本特許はじめ、10点以上の米国特許取得済み。

 FMは、東欧バンドを含む全世界対応、実用感度9dBu、SN比65デシベル(A―weight)。AMは実用感度14dBu、SN比55デシベル。

 サンプル価格(2000個購入時)は1個800円(RDS付きは1000円)。既に特定ユーザー向けに評価サンプルを出荷、各ユーザーには5月サンプル出荷予定。量産は今年7月から。初年度1500万個以上の販売を予定する。

 同社では、DSP処理によるフルCMOSワンチップIC技術が確立できたことから、「今後はカーラジオやワンセグなどの分野にも応用していく」(日下部進専務取締役)方針。


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