速度・位相の制御ソフトを組み込んだマイコンとセットにしてエアコンなどのファンモーター効率や騒音を大幅に改善した１チップインバータＩＣ

　日立製作所は、エアコン用などのファンモーターの効率や騒音を大幅に改善したマイコンとワンチップインバータＩＣのセットを２０日から発売する。

　汎用ファンモーターは従来の誘導モーターから高効率な永久磁石同期モーターへ移行している。永久磁石同期モーターは、駆動方式により低速回転時に騒音の問題があり、個々の仕様の違いからすべてのモーターを効率化することが難しかった。同社は速度と位相の制御を行うソフトウエアをマイコンに組み込むことで、どれでも同質な制御ができ、モーターを高効率に駆動させるワンチップインバータＩＣを開発、汎用ファンモーター向けに商品化した。同社従来製品に比べてモーターの効率（消費電力）は最大１５％アップ、騒音は最大３５％低減し、２０デシベルの図書館並みの静けさを実現した。

　モーターに搭載した位置センサーから回転速度を検出し、その速度検出値が外部から入力した速度指令値通りになるよう制御する。位相はモーターの出力電流の電流極性信号と位置センサーを用いて測定した位置信号との位相差を、外部で設定した位相指令値になるよう制御する。この制御により高効率で、騒音の原因となる速度変動を抑えることが可能になった。

　幅広い範囲の回転数（１００―１１００ｒｐｍ）と負荷範囲（出力電流０―１・５Ａ）に対応する。同社は「当社の高耐圧ワンチップインバータＩＣはエアコン用ファンモーター市場で高いシェアを持っている。本セットをファンモーターに搭載する重要な製品に位置付け、今後、対応するモーターの範囲を広げ、製品ラインアップを拡充する」（電力グループ電機システム事業部）としている。