地上デジタル放送受信用システムLSI「EMMA3TJ/3TS」

　ルネサスエレクトロニクスは６月２９日、日本および南米地域向け地上デジタル放送受信用システムＬＳＩの新製品「ＥＭＭＡ３ＴＪ」「同３ＴＳ」を開発、今年秋からサンプル出荷を開始すると発表した。同社は新製品の市場投入を契機として、南米地域向けの製品開発を今後も加速し、同地域におけるビジネスを１３年で１００億円規模にまで拡大させる意向だ。

　ＥＭＭＡ３ＴＪはデジタルテレビ向け、同３ＴＳはセット・トップ・ボックス（ＳＴＢ）向けとなる。両製品は日本やブラジル、アルゼンチン、ベネズエラなどの南米諸国で採用されている地上デジタル放送方式であるＩＳＤＢ―Ｔに対応している。

　 加えて、日本で採用されているＢＳ/ＣＳ放送方式の復調回路やＭＰＥＧ２およびＨ・２６４といった映像圧縮規格に対応した復調回路、ＵＳＢ２・０、イーサネットなどの外部インターフェイス回路などをワンチップ上に集積。デジタル放送の受信に必要な諸機能を統合したことで、デジタル放送対応のテレビやＳＴＢを容易に構築できるようになる。

　 さらに、ＥＭＭＡ３ＴＪは、３Ｄテレビの実現に必要な機能も内蔵しており、デジタル放送やブルーレイ・ディスクからの３Ｄ映像の表示が可能である。

　 サンプル価格は、両製品ともに１個当たり３５００円。今年１２月から量産を開始する予定で、２製品合計で月産３０万個の量産規模を見込んでいる。

　 地上デジタル放送には北米のＡＴＳＣ、欧州のＤＶＢ―Ｔなど複数の方式があるが、日本で採用されているＩＳＤＢ―Ｔは近年、南米諸国で採用が次々と決定している。ルネサスエレによれば、その市場規模は現在、１億台以上に上るという。