SAWフィルター/水晶デバイス不要のワイヤレスSoC

　米シリコン・ラボラトリーズは、ＳＡＷフィルター/水晶デバイス不要のＲＦリモコン向けワイヤレスＳｏＣ「ＥＺＲａｄｉｏ　Ｓｉ４０１０」を発売した。１つの外付け部品だけで、キーレスエントリ、シャッタ開閉リモコンなど単方向のリモコンシステムを構築できる。

　 Ｓｉ４０１０は、同社独自のシリコンオシレータ技術により、水晶デバイスが不要な送信用ＲＦＩＣの最新製品で、初めてＭＣＵ（８０５１互換ＣＰＵベース）を搭載し、ワンチップソリューションを実現した。

　 ＭＣＵとＳＡＷフィルターなどディスクリート部品で構成した従来型のリモコンソリューションに比べ、部品点数、基板実装面積を大幅に削減した。

　 従来は、対応周波数範囲がＳＡＷフィルターの性能などで限定されたが、Ｓｉ４０１０は２７メガ―９６０メガヘルツまで広範囲に対応。キャリア周波数精度も、１５０―２５０ｐｐｍと水晶ベースソリューションと同等以上の水準を達成している。また、変調モードもＯＯＫに加えＦＳＫにも対応する。送信出力は最大１０ｄＢｍで、送信距離１５０メートル程度のシステム構築が容易に行える。

　 待機電流は、１０ｎＡと極めて低いなど、低消費電力性を追求した。

　 ＯＯＫモード、送信パワー１０ｄＢｍ、データレート１ｋＢａｕｄ、パケット１００ビット、３回繰り返し送信で、１日５０回ボタンを押すという条件で５年間使用しても、ＣＲ２０３２ボタン電池容量の５２％分の電力消費で済む。

　 ボタンを押すごとに自動的にアンテナとのマッチングを図る「自動アンテナチューニング機能」を搭載し、リモコンを持つ手の位置などに応じ、最適化しながら常に送信距離を最大化。また、アンテナ設計を容易化する。

　 ＭＣＵ機能としても豊富なメモリーを搭載。基本的なリモコン機能ソフトをＲＯＭ化して内蔵し、ソフト開発も容易にする。同社ローレンス・ダーシニアプロダクトマネージャは「低コストのリモコンを実現するためのＳｏＣ。水晶レスだがＲＦ性能も高く、設計もかなり容易になる」と自信を見せる。

　 同社ではＳｉ４０１０のほか、ＭＣＵ機能非搭載品や、Ｓｉ４０１０対応の受信用ＩＣも開発し、順次販売を開始している。