電波プロダクトニュース



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日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
11月10日 101110_03 富士電機HD ユニット 電源・アンテナ・高周波部品 一般産業用

1パッケージの「3レベル変換回路」半導体モジュール


 富士電機ホールディングスは、電源、インバータなどDC/AC変換装置の電力損失を大幅に低減できる「3レベル変換回路」を、1パッケージで実現できる半導体モジュールを開発、販売し注目を集めている。

  インバータやUPS(無停電電源装置)など電力をDC/AC変換する分野では、IGBTなどスイッチング素子のオンオフにより、正弦波のAC電力を作りだす。

  従来、このDC/AC変換は、正・負それぞれ一つのスイッチング素子を用い、正側は「0と1」、負側は「0とマイナス1」というように、正側、負側それぞれ「2レベル」の電圧波形で出力してきた。

  一方「3レベル変換回路」は、正負それぞれ二つのスイッチング素子を使い、正側は「0と0.5と1」、負側は「0とマイナス0.5とマイナス1」というように、3段階の電圧波形で出力するというもの。従来の2レベルに比べ、より正弦波に近い電圧波形を出力できることなどから、スイッチング損失を約半減できる利点がある。

■ 正弦波に近い波形
  また、正弦波に近い波形を出力できることで、出力の歪み成分を除去する後段のフィルター部が2レベルに比べ2分の1容量で済む。フィルター部のコスト、サイズ、さらに電力損失を大幅に低減できる。スイッチング素子当たりの電圧ステップ幅が2分の1となるため、ノイズも抑制できる。

  多くのメリットを生み出す3レベル回路だが、10―20年前に低耐圧の素子で高耐圧対応できることなどから広く使用されていた。だが、高耐圧なIGBTの登場により、過去の技術となっていた。四つのスイッチング素子と四―六つのダイオードが必要で、三つ以上のモジュールを使用しなければならないという欠点があったためだ。

  富士電機は今春、基板上での電力損失や設計の複雑さを招く、複数のモジュールが必要という3レベル変換の課題を解決。1パッケージで実現する「新3レベル変換回路モジュール」を開発、投入した。

  1パッケージ化を可能にしたのが「逆阻止(RB)IGBT」。IGBTと対に使用する逆方向電流を阻止するためのダイオードを、IGBTと同一ダイ上に構成することに成功。二つのRB―IGBTと各二つのIGBT、ダイオードと、1パッケージに実装可能な少ないチップ数に抑えた。「過去に3レベル変換が注目された時期からRB―IGBTの研究開発を継続してきた」(技術開発本部基礎技術研究センターグリーンパワエレプロジェクト部・大熊康浩部長)ことが実を結んだ。

  環境負荷低減ニーズが高まる昨今、3レベル変換回路に再び注目が集まりつつあった中で、2レベル変換と同じ1パッケージで3レベル変換を実現できる現在唯一のソリューションとあり「発表以来、多くの反響がある。良いタイミングで発売できた」(大熊部長)と好調なスタートを切っている。

  「4―5年後には、5割以上3レベル変換回路を搭載する可能性がある」と見込むUPSを筆頭に、産業機器などの電源用途をターゲットにして数十キロから数百キロA容量級のモジュールをラインアップし、今後1MAクラスを含む中・大容量品を拡充していく予定。さらに産機分野で実績を積みながら、車や鉄道分野での応用を見据えている。


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