複合型次世代メモリーカード用コネクターの技術

佐々木良:SMK(株)コネクタ事業部第3設計部


◆市場動向と開発状況
 分野を問わず数多くの一般コンシューマー向けエレクトロニクス製品で、メモリーカードスロットが搭載された結果、メモリーカードはストレージ機能としての利用に加え、簡単かつ確実なデジタルデータの相互移動手段として幅広く利用されるようになってきた。一方では、メモリーカードの規格が複数存在し、異なるカードスロットを持つ製品間において、カードを介したデータ相互移動ができないなどの機能制約の問題が生じている。
 これらの状況を踏まえSMKでは、1つのコネクターで各種メモリーカードに対応可能な複合型コネクターの開発に注力している。
 また、次世代型メモリーカード用コネクターについても、小型化、高機能化を図った開発を行っている。



◆複合型メモリーカード用コネクター(写真1)
 すでに量産化している製品ラインアップと対応メモリーカードを表1に示す。3in1コネクターは4in1コネクターの機能を継承した小型、低背タイプである。各コネクターともに、異種カードの挿入で懸念される端子接点部の座屈やカード破損を独自の保護機構で防止している。また、ESD対策としてアースシェル構造を装備した製品も取り揃えている。
 新たに開発した5in1コネクターの最大の特徴は、スライドカバーを装着することで、2枚以上のカード同時挿入を防止する排他構造を可能にしている点である。
 ただし、スライドカバーを取り外せば、通常の複合型コネクターとして利用可能である。ハンダ付け方式は、確実なハンダ付けが容易に行えるようにDIP方式を採っている。

写真1
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  表1
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複合型メモリーカード用コネクター
対応メモリーカード


◆次世代型メモリーカード用コネクター(写真2)
 主に携帯電話向け需要が見込まれる次世代型メモリーカードとしてMSDuo、miniSDカードが台頭している。そこで第1弾としてMSDuoの開発を行い製品化した。小型、超低背タイプで高さ2.2×幅24.0×奥行き28.0(mm)を実現している。カードイジェクト方式にはプッシュロック/プッシュイジェクト(P/P)を採用し、カード飛出し、無理抜き、逆挿し防止機構なども備え、高機能化を図っている。現在、リバースタイプなどのラインアップ拡充を行っている。

写真2
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次世代型メモリーカード用コネクター


◆MS/SD/SIMカード用コネクター
 従来から積極的に開発している各種メモリーカード用コネクターの特徴ならびに機能を総合して以下に紹介する。
 <MSカード用コネクター(写真3)>(1)挿抜方式はマニュアル、P/Pタイプの2種類(2)実装方式はノーマル、リバースSMTタイプとFPCにSMTするバリエーション対応(3)カード検知用スイッチ付き(4)カードロック機構、逆挿し防止機構付き
 <SDカード用コネクター(写真4)>(1)挿抜方式はP/P方式を採用(2)実装高さ2.7mmの低背タイプ(3)各製品にカードロック機構ならびにカード検知・ライトプロテクト用スイッチ付き
 <SIMカード用コネクター(写真5)>(1)独自の端子形状により、コネクター各側面からのスライドならびに傾斜挿入に対応(2)カードガイド用フレーム付き(4)端子、ハウジング、ガイドを一体成型したハウジング高さ0.65mmの超低背タイプ

  写真3
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  写真4
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  写真5
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MSカード用コネクター
SDカード用コネクター
SIMカード用コネクター
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◆今後の展開
 以下の3点に注力し、今後のメモリーカード用コネクター開発を展開していく。
(1)各種次世代型メモリーカード用コネクターの開発とラインアップ拡充
(2)次世代型メモリーカードに対応した複合型コネクターの開発
(3)2、3種類のメモリーカードに限定した複合型コネクターのラインアップ拡充と、それらにプッシュロック
   /プッシュイジェクトなどの高機能を付加した製品の開発。






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