高密度実装技術の動向

TDK/松下電子部品(五十音順)



  
 ここ数年、電子機器の小型・薄型・高機能化が急速に進んできている。
これにともない、使用する半導体デバイスと回路部品および実装技術がより高度化してきている。モバイル機器は小型・高機能化が求められている分野であり、さらなる小型・高機能化をめざして部品の小型化や実装技術の開発が進められている。携帯電話は、電話機としての機能をはるかに超え、PDA、インターネット端末、ミュージックプレヤーさらにはデジタルカメラ搭載とモバイル総合端末として進化してきている。
部品の小型化では、LSIの小型・薄型、多ピン高密度パッケージの開発、抵抗、積層セラミックコンデンサーなどの回路部品ではこれまで最小の0603(0.6×0.3mm)サイズからさらに小型化を図った0402(0.4×0.2mm)サイズの極小チップ部品が登場している。
また、プリント配線板への実装面積を減らすために半導体チップの積層実装や回路部品の複合化などが本格化してきている。


  ◆チップ部品とプリント配線板
 SMT(表面実装技術)の進展により、電子機器は小型・薄型・軽量化を実現した。SMTは、リード線を持たないSMD(チップ部品)をプリント配線板の片面あるいは両面に部品を搭載する方式である。
半導体デバイスは、プロセス技術の進展により微細加工技術が進み、高集積化が進んでいる。このため、パッケージのピン数が増えてきており、高集積品では1000ピンを超えるものも出てきており、SoC(システム・オン・チップ)などのLSI製品は、BGA(ボール・グリッド・アレイ)などのCSP(チップサイズパッケージ)が使われている。また、携帯電話用メモリーは、プリント配線板上における実装スペース縮小のため、複数のメモリーチップを積層し、ワンパッケージ化したものが使われてるようになっている。
抵抗、コンデンサー、インダクター(コイル)などでは、0603(0.6×0.3mm)サイズの超小型品の導入がVCO(電圧制御発振器)やカメラモジュール、さらにDVC、デジタルカメラ、携帯電話のプリント配線板への採用が本格化している。さらに極小チップ部品として0402(0.4×0.2mm)サイズの抵抗器と積層セラミックコンデンサーが開発されている。
 水晶デバイスやフィルターなどの複合部品では、半導体リソグラフィ技術の導入により超小型品が登場している。
さらにモバイル機器向けのコネクターやスイッチなども構造の見直しや新技術の導入で小型・薄型化製品が登場している。
さらに電子部品は、環境問題に対する意識の高まりから鉛フリー化が叫ばれ、その多くが鉛フリー製品となってきている。
一方、プリント配線板も高密度、多層化が進んでいる。パソコンでは4、6層基板が使用され、最新の携帯電話では8層基板が使用されている。また、より高密度実装に対応できるビルドアップ配線板や次世代プリント配線板として、基板内に部品を組み込む技術の開発も進められている。環境問題に対してはハロゲンフリー化が進められている。

  写真
クリックしてください。
  写真
クリックしてください。
  写真
クリックしてください。
世界最小MPEG4モジュール(大日本印刷とDTCT)
1005サイズL-R複合デバイス(松下電子部品)
0402形状積層チップビーズ(TDK)


  ◆チップマウンターとハンダ付け技術
 半導体デバイスや回路部品をプリント配線板に実装するにはチップマウンターと呼ぶ部品自動装着機を使用する。このため部品部品のサイズと供給方式が標準化されている。
部品の供給は、テーピング、トレイ、バルク供給方式で行われている。現在はテーピング方式が主流で、極小チップ対応としてキャリアテープのファイン化、ハーフピッチ化により収納量がアップしている。テープの長さはユーザーのニーズによって供給でき、通常のレコード巻きに加えてトラバース巻きもある。トラバース巻きは、テーピング工程におけるテーピングマシンの無人化、高速化による高稼働率をサポートし、材料ロスを抑制できるためコストダウンにも寄与する。また、環境対策として梱包の簡易化、環境に優しいテープやトレイ材料の導入、テープリールの再利用などが行われている。
 これまでチップマウンターは、おもに量産向けの大型高速機が使われてきたが、近年は多品種、中小量生産の時代に入っていることからチップマウンターも小型、中型の中高速機を複数台連結し、部品切り替えが容易にできるモジュラー方式が導入されている。
このモジュラー方式は、多様な基板の変種変量生産に最適な形でまとめられている。0402サイズ部品の登場で、これに対応するマウンターの開発も始まっている。
プリント配線板に実装された部品はハンダ付けにより固定される。ハンダ付けには自動ハンダ付け装置が使われ、これにはリフロー方式とウェーブ方式がある。近年は、部品の小型・高密度実装化にともなってリフロー式が主流になってきている。
ハンダは環境問題への高まりから主原料であった鉛を排除したハンダの開発が行われ、最近は鉛フリーハンダが使用されている。


最新トレンド情報一覧トップページ