システム・イン・パッケージによる高周波デバイス開発技術

資料提供:アルプス電気(株)



  
 アルプス電気は、固有の高周波回路技術、パッケージング技術などを駆使し、超小型・高性能の各種高周波モジュールを開発、量産している。次世代デバイスを実現する開発思想(=手法)「Alps,System in Package」(図1)により、ユビキタス・ネットワーク社会を支える「美しい電子部品」の開発を加速している。無線LANモジュールでは、IEEE802.11b用通信モジュールとして、外形寸法11.0×13.7×1.8ミリメートルと、従来の「Mini―PCIモジュール」と比較して95%減の容積を実現した「UGGZシリーズ」を開発した(写真)。携帯情報機器搭載用の、小型化、薄型化、低消費電力化ニーズに対応している。 小型化、薄型化にあたっては、高機能基板の採用により基板へ部品を搭載するとともに、ICベアチップおよび0603サイズの小型チップ部品を採用、これらを両面実装、高密度実装した。加えて、機構系CAEによる回路特性の解析や構造評価技術を駆使し、独自のパッケージングを行った。これら独自技術の採用により、UGGZシリーズは、容積0.27ミリリットルを達成。同社従来製品と同等性能を実現。

  写真
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  図1
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無線LANモジュール「UGGZシリーズ」
HMIツリー(アルプス-システム・イン・パッケージとヒューマンメディア・インタラクティブ)



  【消費電力を極限まで削減】
 低消費電力化にあたっては、専用ICの採用などにより、消費電力を極限まで削減、待機時では1mWを実現した。16ビットパラレルインターフェイスを採用。 UGGZシリーズの主な仕様は次の通り。 周波数帯域2412―2472Mヘルツ(日本仕様は2484Mヘルツ)。チャンネル間隔は5Mヘルツ(日本仕様を除く)。チャンネル数13チャンネル(日本仕様は14チャンネル)。2次変調方式は、BPSK、QPSK、CCK、DSSS。電源電圧は、プラス1.875V/プラス2.85V。伝送速度は11Mbps max。
受信感度はマイナス76dBm。出力レベルはプラス13dBm。暗号化はWEP、WPA。 同社ではノートPC、携帯電話、車載向け無線LAN市場などの拡大に対応し、今後も超小型・低消費電力の802.11gモジュールやUSBアダプターへの応用、車載対応などの開発を進めていく。 電子部品の複合機能化、軽薄短小化が進む中で、デバイスメーカーやセットメーカーとの関係も大きく変わり、今までのコンポーネントの概念では対応しきれなくなってきている。 すなわち、これまでのように個別の機能を持ったコンポーネントを提供することから一歩進んで、小さなパッケージの中に機能を詰め合わせ、インテリジェンスを持った電子部品の概念を作りあげることが重要になる。
 新しいコンポーネントやデバイスの概念をつくるには、ナノテクノロジーが重要な役割を果たす。しかし、ナノサイズとヒューマンサイズの間には大きなギャップがあり、これをシームレスにつなぐテクノロジーチェーンが重要になる。 同社はこれまで「光」「磁気」「メカニズム」「電子」の領域でナノ加工技術を究めてきた。そしてこれらの技術を一つのシステム、一つのパッケージに詰め込んでヒューマンサイズの製品に仕上げていくことにより、アルプスらしさを創出している。この開発思想が、「Alps,System in Package」であり、複数の半導体や部品を封止したパッケージである「SiP(System in Package)とは根本的に異なるものである。 Alps,System in Packageを支える最先端ナノテクノロジーとして「NANO設計」「NANO加工」「サブストレート」「NANO組立て」「NANO評価」がある。これらの技術開発を総合的に進めるにあたり、同社では全社的に品質工学の手法を取り入れ、飛躍的な成果を得ている。


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