プリント配線板 

成長分野へ活発な新製品・新技術開発
LED関連や太陽光発電、エコカー、スマホなど

 プリント配線板は、成長分野に向けた新製品、新技術の開発が活発化している。LED関連、太陽光発電、エコカーといった環境、省エネなどをキーワードに今後成長が見込まれる新たな市場に対する高放熱基板や厚銅基板などの技術が多様化、スマートフォンやタブレットPC、高機能モジュールなどの小型、軽量、多機能化が進展するモバイル機器分野に対して部品内蔵基板や低温焼結セラミック基板(LTCC)といった技術が高度化、さらに、フレキシブル配線板(FPC)は、3D配線、高屈曲、ガスケットやリジッドとの複合化による用途を拡大などの最新技術が注目されている。

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銅張積層板ベースで高耐熱タイプ開発
LED用基板は、リジッド系プリント配線板がセラミック基板に比べて放熱特性などが劣るなどの課題が指摘されているが、ここにきて高信頼性基板技術が相次いで開発された。ガラス―エポキシ系ではFR―4グレードをはじめ、各種銅張積層板ベースでの高耐熱タイプが開発された。

銅張積層板レベルで発光効率などの視点から白色基板材が商品化。また、基材では性能とともにコストバランスを配慮して、ガラスコンポジット材(CEM―3グレード)をベースにしたLED専用銅張積層板が開発されている。

さらにアルミベース基板や銅コア基板、メタル基板を貼りあわせたFPCなどを提案する企業が出現している。

EV、HEVを含めて、自動車分野では信頼性、安全性の確保のために特に高放熱基板に対する技術進展が要求されるようになった。

すでにセラミック基板やメタルコア基板などの採用が広がっている。その中で、アルミベース基板は、優れた放熱特性を有し、表面実装が可能で、シャーシなどの構造物として利用できる。銅コア基板は熱の均一性に優れ、両面実装が可能であると同時にリード挿入部品が実装できる。さらに構造面では、金属コアを電源、グランド層に使用が可能である。

新しい技術としては、ダイレクト放熱と配線自由度を高めるというコンセプトからキャビティ構造銅ベース基板が開発されている。

太陽光発電などのエネルギー分野における大電流対応の基板としては、厚銅基板の技術が用いられている。一般的なプリント配線板の回路厚みが35μm内外であるのに対して、200μm以上という厚さの回路を形成することで大電流への対応を可能にしたものが厚銅プリント配線板。大電流や高電圧などの電気的な負担が大きい回路において、縦方向に厚みを持たせ、回路幅を狭くでき、電子機器の小型化にも効果を発揮する。

GND、VCCとしての大電流回路はもちろん、IGBTやパワーMOSFET、ショットキーダイオードなど、発熱するパワーデバイスを搭載する回路で使用できる。

特に高放熱基板のメタル系基板との組み合わせで用途が拡大でき、回路厚みでは数ミリメートルが実現できるという。

さらに最近では、丸型または平型銅線を銅箔上に溶接するパターン形成を行う新たな厚銅基板技術が開発された。

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部品内蔵基板で高機能化
 高機能モジュールやモバイル機器では、樹脂系基材を用いたプリント配線板としてビルドアップ技術の進展で、小型、薄型、軽量化を推進してきたが、ここにきて部品内蔵基板を適用することで、さらに小面積で高機能化を実現しようとの動きが活発化してきた。

 部品内蔵基板の場合は、FR―4グレードなどのガラスエポキシ銅張積層板を使用。多層化にはビルドアップ工法を用い、プリント配線板製造プロセス上で、抵抗器やコンデンサ、インダクタなどの受動部品、さらにはWLP(ウエハーレベルパッケージ)やベアチップを基板に内蔵することで、その上部全面に配線層が設けられ、ICチップやICパッケージ、または抵抗器やコンデンサなどの受動部品を3次元実装することが可能。

 モジュール基板として従来から使用されてきたセラミック基板では、LTCCの採用が広がっている。LTCCは、900℃以下の低温で焼結可能なことから、電極をはじめとする異種材料を同時に焼結できるのが大きな特徴。これによって、内部に部品を形成できる。パターン形成には厚膜技術が用いられ、パターンピッチは一般的に100―120マイクロメートルだが、薄膜技術で同20マイクロメートルの微細パターン形成が可能になった。

 FPCは、両面微細タイプや多層板、屈曲性に優れたFPCなど、技術的に高難易度化してきた。微細化という点では、サブトラクティブ工法でパターンピッチ50ミクロンの量産を実現。しかもビア上の部品実装に対応できる。また、セミアディティブ工法では片面および両面FPCで30ミクロンのパターンピッチが量産領域にあるという。

 FPCの魅力は、薄型である点。多層FPCでは6層板で0.3ミリメートル厚、4層板で0.2ミリメートル厚が可能になりつつある。

 携帯機器の分野では機器内部での設計自由度を高めるために、リジッドとFPCを一体化したフレックスリジッド配線板が使用されている。さらに最近ではFPC一体のガスケット構造を採用した防水機能の携帯機器が一般化しつつある。