高周波部品とモジュール
超小型・薄型化技術、飛躍的な進歩
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 スマートフォンやタブレット端末では、高機能モジュールの搭載点数が増えている。小型、軽量で高機能化を推進するため。ブルートゥース、W―LAN、WiMAX、GPS、ワンセグチューナ、ZigBee用など、各種モジュールの小型、薄型化技術も飛躍的な進歩を見せている。また、モジュールを構成する主要なSMD(表面実装デバイス)も最新のマテリアル、プロセス技術を用いた新製品開発が活発化する。

 スマートフォンなどでは、多機能化でメーン基板に全ての回路を形成すると基板面積が大きくなる。基板上の搭載部品点数の削減によって小型化が可能になる。そのため、機能ごとにモジュール化する技術が多く組み込まれるようになってきた。

 これまでのモジュールは、薄型で小型面積の基板による微細パターン化、超小型、薄型部品の搭載、LTCC(低温焼結セラミック)基板の採用などによって、小型、高機能化を推進してきた。LTCCは、一般的なアルミナが約1500℃の高温で焼成されるのに対して、900℃以下の低温で焼結可能なことから、電極をはじめとする異種材料を同時に焼結できるのが大きな特徴。これによって、電極のほか、抵抗やコイル、コンデンサといった受動部品を構成できる。

 技術的には機能内蔵化と同時に微細化の進展で、小型でありながら高機能、多機能化に向けた動きが活発化している。

 パターン形成には厚膜技術が用いられ、パターンピッチは一般的に100―120マイクロメートルだが、微細化技術が進展し、50マイクロメートル程度までファイン化。さらに薄膜技術を利用することで、同20マイクロメートルの微細パターン形成が可能になった。

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部品内蔵基板技術使いモジュール化
最新のLTCCを使ったモジュールの例として部品内蔵技術を使った複合電源管理モジュールがある。この製品は、複数のパワーインダクタ、大容量コンデンサおよび電源管理ICを一体化したもので、部品内蔵技術を用いることで、通常のディスクリート品より実装面積比約70%ダウンを実現した。複合電源管理モジュールは、無線通信機能、またワンセグ、GPS、動画再生などさまざまな機能にはそれぞれ電源が必要で、必要な時に、必要な部分に、必要なだけ電力を供給することでバッテリを長く持たせることが可能。その際、電力供給を管理する役割を果たすもの。

メタルアロイパワーインダクタ、積層チップインダクタを内蔵を内蔵。コア基板にはLTCCを採用。I/O端子には銅材を使用しており、優れた放熱性を有している。

最近では、部品内蔵基板技術を用いて小型で大規模回路をモジュール化する技術が注目されている。

部品内蔵基板は、多層板の内層回路に電子部品や半導体を印刷形成したものや電子部品や半導体を埋め込んだものなど、様々な技術開発が進んでいる。基板は、薄くて高周波特性、耐熱性などに優れた材質が利用されているが、ここにきて銅コアを内蔵した回路基板やコアレス回路基板などを用いた部品内蔵基板が登場している。また、薄型化を追求。内蔵するICを50μm厚に加工したものだけを内蔵することによって、部品搭載高さを含めて、全体基板厚みを0.3ミリメートルに極薄化。現在、様々なモジュールの設計が展開されている。

樹脂系部品内蔵基板は、多層化については基板全体を薄くするためにビルドアップ工法が用いられ、パターン形成に一般的なサブストレート工法を使う。微細化をするためにはアディティブ工法を採用することによって、L(ライン)/S(スペース)=25μm/25μm程度まで超微細化が可能とされる。また、層間を接続するビアホールは面積効率を高めるためにレーザー加工によって極小径化する。

内蔵するSMDは、基板厚みを薄くするために基板内蔵用の極薄チップの開発が活発化している。積層セラミックコンデンサは、最新技術として1005サイズの0.05ミリメートル厚で0.1μF、0603サイズの0.05ミリメートル厚では0.01μFを実現。チップ抵抗器では厚み0.15ミリメートルの製品が登場した。電極も基板内蔵に対応して銅電極を採用し、基板内で銅メッキ接続を可能にしている。さらに高周波インダクタの場合も厚み0.15ミリメートルクラスの開発が進んでいる。
半導体デバイスの内蔵化は、WLPを用いている例が多い。その中で、半導体パッケージを特殊な技術で薄型にして利用する技術も開発された。最近では、ガリウムひ素(GaAs)アンテナスイッチを内蔵したモジュールが開発されるなど、一段と技術が高度化してきた。

また、ICチップをウエハーレベルで極薄に加工したものを内蔵するIC内蔵基板が実用化されている。モジュールの薄型化に貢献する。

モジュール表面に搭載するSMDの小型、薄型化技術も進展している。すでにLCR部品(インダクタ、コンデンサ、抵抗器)は、0402サイズまで極小チップ化を実現。ここにきて、0402サイズの積層セラミックコンデンサで0.22μF/6.3Vを実現した大容量品をはじめ、高周波用として高Qを実現したインダクタ、積層セラミックコンデンサが出現するなど、当面は、この0402サイズでの品種拡充に向けての新製品開発が活発化するものと見られる。