スマホやタブレット、カーナビや産機など製品別のニーズに対応

[タッチパネル]操作性や感度など技術が一層高度化

 タッチパネル技術の高度化が進展している。タッチパネルメーカー各社は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末やカーナビ、各種産業機器などでのニーズに照準を合わせ、新技術を取り入れた独自性の高い製品開発による差別化を促進する。

画像1 「モバイル機器用タッチパネル」
 モバイル機器用では、薄型・軽量かつ高強度の要求に対応した抵抗膜方式および投影型静電容量式タッチパネルの開発が活発化している。新構造のタッチパネル用センサー開発により、従来と同等の性能を維持しつつ、タッチパネルモジュールの大幅な薄型化を実現する超薄型静電容量タッチパネルなどが開発されている。

 従来のディスクリートソリューション(外付け)用センサーはPETフィルム上に]とYの透明電極をそれぞれ載せて重ね合わせた2枚構造であるのに対し、1枚のPETフィルムの片側に]とYの透明電極を乗せることで大幅な薄型化を追求した製品などが開発されている。

 タッチパネルのキーマテリアルである透明導電性フィルムでは、主力のITO(酸化インジウム錫)フィルムの代替技術開発にも力が注がれ、銀ナノワイヤをはじめとする代替材料の研究などが進展している。

 今後の需要本格化が期待されるウエアラブル情報端末搭載(腕時計型端末、眼鏡型端末など)用に、フレキシブルディスプレイ向けの曲面対応タッチパネルの技術開発なども活発化している。

「車載用タッチパネル」
 車載用では、カーナビや集中コントロールシステムなどの用途向けに、車載抵抗膜方式タッチパネル需要が拡大している。車載用タッチパネル開発では、温湿度などの耐環境性能や、耐ノイズ環境など、高度な技術が要求される。自動車ドライバーの安全性向上に寄与するフォースフィードバック(FFB)タイプの抵抗膜方式タッチパネル開発にも力が注がれる。

 現在は、16年や17年などのモデルイヤー車向けに、良好な操作性、優れた光学特性、高感度などを追求した新製品の開発、投入が相次いでいる。車載純正用タッチパネルは、現在主力の抵抗膜方式から、15年以降に向けて、静電容量方式への切り替えが進展することが予想されており、タッチパネル各社の車載静電容量方式タッチパネルの開発も活発化している。

 最近は、タッチセンサーの感度を高め、手袋をした状態でも入力操作可能な相互容量タイプ車載仕様静電容量方式タッチパネルや、曲面対応タッチパネルなどの開発も進展。カーナビ用タッチパネルのデザイン面でのレベルアップも追求されている。

 空間のわずかな静電容量を検出することでタッチパネルに触れずに操作可能なタッチレス操作パネルなども開発されている。マルチタッチ操作が可能な抵抗膜方式タッチパネルも製品化された。

「白モノ家電/事務機器用 タッチパネル」
 事務機器用タッチパネルでは、手を近づけたことを認識する近接センサー機能を搭載した抵抗膜方式タッチパネルが商品化され、新たな操作方法の提案が進められている。

 タッチパネルの新たな需要分野として期待される白モノ家電向けでは、冷蔵庫や洗濯機、調理家電などの分野で求められる低コスト化への要求に対応するため、搭載機能を絞り込んだ1層フィルム構造の静電容量式タッチパネルなどが開発されている。一般的なフィルム構造の静電容量式タッチパネルは2枚のセンサーフィルムを組み合わせた構造であるのに対し、センサーフィルム1枚構造でキー入力や2点マルチ操作などの機能を実現することで、材料コスト低減を図った製品などが投入されている。

 タッチパネル材料の技術開発も加速している。高機能フィルムやガラス、偏光板メーカーは、タッチパネルの高透過性や低反射、柔軟性向上、操作感触の向上、長寿命、高信頼性、防汚性や指紋の付きにくさ、ノイズ対策、低コスト化などに向けた次世代材料開発を推進。透明導電性フィルムではレアメタルであるITOを代替する新たなフィルム材料開発なども進む。

 (自動車ドライバーの)偏光サングラス使用時のブラックアウトを防止するためのタッチパネル材料の研究などにも力が注がれている。

 タッチパネルの競合が激化する中で、各社は独自性のある新製品創出に全力をあげている。モバイル端末用では、スマートフォン向けに徐々に需要が拡大しているオンセルやインセル技術へのマーケティングにも力が注がれている。客先要求に合わせ、タッチパネルにLCDを貼り合わせた製品の供給などに乗りだすタッチパネルメーカーも増加している。