小型・薄型・軽量・高効率化に加え省エネ化を追求

[電源と電源用部品] 活発な技術・製品開発

画像1  小型、薄型、軽量および高効率化の追求を中心に、電源技術が進化している。成長著しいスマートフォンやタブレット端末といったモバイル機器向けの超小型、薄型DC―DCコンバータの技術進展が目覚ましい。一方では、エネルギー問題がクローズアップされる中、省エネ化技術が進化。太陽光および風力発電、EV/HEV、LEDなど、環境、エネルギー分野向け電源の新製品開発が活発化してきた。電源に搭載される主要電子部品は、マテリアル、プロセス、評価技術をさらに高度化しながら、電源の新製品開発をサポートする。

画像1  スマートフォンやタブレット端末など、モバイル機器の分野は、小型、軽量でありながら、高機能化技術が急速に進展している。モバイル機器の場合は、様々な半導体デバイスを駆動するための超小型、低背のDC―DCコンバータモジュールが搭載される。高効率で、低電圧駆動をするための回路技術、部品選定が重要。高密度実装技術を使った電源モジュール、さらには電源管理モジュールでは、LTCC基板や部品内蔵基板技術を用いることで、実装面積の省スペースに寄与する技術が実用化、スマートフォンの小型化に寄与している。


超小型でハイパワー化への対応技術進む

 電源モジュールで使用される受動部品は、小型、低背化に向けた新製品開発が活発化。積層セラミック、抵抗器、インダクタなどは、超小型でハイパワー化への対応技術が進んでいる。その中で、パワーインダクタは、金属磁性材料を用いたメタル系パワーインダクタは、大電流対応で2520サイズ以下へと小型化技術が進展、1608サイズまで超小型化した。

 積層セラミックコンデンサは、0402サイズの6.3V定格がこれまで0.1μFだったが、新たに0.22μFまで容量が拡大している。  電源においては変換ロスを低減し、高効率化を推進する技術開発が従来から進められてきた。現在では、さらに技術が進展。全負荷時での効率改善、軽負荷時の高効率やコントロールOFF時の待機電力の削減など、高効率で省エネルギーな電源が台頭してきた。
 太陽光発電では、太陽電池から発電された直流の電力を交流に変換するためのパワーコンディショナが用いられる。このパワーコンディショナは昇圧のためのDC―DCコンバータ、商用電源への供給のためのDC―ACインバータから構成。高周波スイッチング技術による小型、高効率化に向けての開発が活発化している。

 パワーコンディショナは絶縁型と非絶縁型があり、これまではアナログ制御の非絶縁型が多かったが、最近ではDC―DCコンバータの制御にデジタルを用いた技術が採用されるようになり、小型、軽量、高効率で、経済性、信頼性の高いパワーコンディショナが出現している。
 自動車分野は、HEV、EVの普及が目覚ましい。モーターを駆動し、電気系統に電力を供給するためのインバータ、DC―DCコンバータは、振動、衝撃、温度、湿度などの耐環境性に優れ、小型、軽量、高効率化などが求められる。さらにHEMSの構築を視野に入れた家庭とEV、PHEVとの電力給電に関わる連携技術が注目される。急速充電技術、EV、PHEVから停電時の家庭への電力供給などの技術が実用化されている。
 いずれにしてもハイパワーで、高電圧、大電流を取り扱うため、パワー用部品に対する信頼性、諸特性の向上が強く求められる。キーデバイスの1つであるスイッチング素子は、MOSFET、IGBTなど、パワーによって使い分けされ、変換効率を高めるために、オン抵抗を抑制する技術開発が活発化。さらに高耐圧化への対応として、SiCの採用が具体的に検討され始めた。

 リアクタは、ケイ素鋼板、フェライト、アモルファス、メタル系といった様々なコア材料が使用されている。スイッチング周波数やパワー特性などによって最適なコア材が用いられ、しかもコア形状も高性能化に向けて最適化。巻線の加工技術も一般的な丸型の銅線を巻線する工法に止どまらず、最近では平角の銅線を縦巻きするエッジワイズ巻きの適用が目立つ。

 パワー用コンデンサは入出力平滑用としてアルミ電解が採用される。高温度対応での信頼性確保が強く求められる。特に一次平滑用としては高耐圧化ニーズが活発化し、650Vなどの高電圧タイプの新製品開発が相次いでいる。

 LED関連では一般照明に加え、表示器、看板などとしての利用が広がってきた。LED表示器では、定電圧駆動と定電流駆動の両方式がある。低電圧で大電流が必要。そのために高効率のスイッチング電源が求められている。また、LEDの長寿命化に対応する長期信頼性の確保が必要不可欠である。使用する電子部品も長寿命タイプが用いられている。

 特にアルミ電解コンデンサにおいては、高温度での長寿命化に向けた新製品開発が活発化。1万時間保証タイプなどが商品化され、LED照明の長寿命化に寄与している。