無線用やカメラ用高機能モジュールの開発活発


 スマホやタブレット端末では、高機能モジュールの搭載点数が増えている。また、HEMS、BEMSといった社会インフラや自動車分野でもモジュール化技術の採用が進展している。電子部品メーカーでは、こうした成長3大市場に対して、小型、高機能なモジュールの新製品開発を加速している。

 スマホなどでは、メイン基板にすべての回路を形成すると機能が多機能化してきたことから、基板面積が大きくなる。基板上の搭載部品点数を削減することによって小型化が可能になる。そのため、機能ごとにモジュール化する技術が多く組み込まれるようになってきた。

 これまでのモジュールは、薄型で小型面積の基板による微細パターン化、超小型、薄型部品の搭載、さらにはLTCC(低温焼結セラミック)基板の採用などによって、小型、高機能化を推進してきた。最近では部品内蔵基板を使用することで、さらに小型、薄型、高機能化を実現している例が多く見られるようになってきた。

   その例として、TDK、村田製作所が相次いでブルートゥース4.0Smartモジュールを開発した。ブルートゥース4.0Smart(別名ブルートゥース Low Energy)は低消費電力が特徴で、バッテリ駆動で使用され、小型・軽量・低消費電力が求められている携帯機器に最適な規格。今後のウエアラブル機器の出現に対応する規格として最適なモジュールの開発が活発化しているもの。

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 TDKは超小型ブルートゥースモジュール「SESUB−PAN−T2541」を開発した。独自のIC内蔵基板「SESUB」を用い、ブルートゥースICを基板内に内蔵し、水晶発振器、バンドパスフィルター、コンデンサなどの周辺回路部品を基板上に配置。これによって、ブルートゥース4.0Smartモジュールとしては世界最小クラスの4.6×5.6×1ミリを実現した。この大きさは、ディスクリートの場合と比較して、基板の専有面積を64%削減できる。


 村田製作所は、サイズ・消費電力が同社従来比4分の1の超小型・超低消費電力ブルートゥースSmartモジュールを開発した。小型SMDタイプ「LBCA2BZZFZ」(5.4×4.4×1ミリサイズ)とアンテナ内蔵SMDタイプ「LBCA2HNZYZ」(7.4×7×1ミリサイズ)の2種。

 スマホなどでは、高性能なカメラが搭載される。このカメラを駆動する回路の小型化も強く求められている。

 太陽誘電は、銅コアを有する部品内蔵配線板「EOMIN」において、基板の一部にくぼみをつくるキャビティ形成技術を開発、新タイプの部品内蔵配線板「EOMIN」を商品化した。

 この商品は、スマホやウエアラブル端末などの薄型モバイル機器に搭載されるカメラモジュール向けの部品内蔵配線板。高画素化が進むカメラモジュールでは、高精細化や画素の狭ピッチ化に伴い、歪みが少なくノイズなどが入らないよう、基板の平坦性や剛性、ノイズ耐性などが求められている。そこで、「EOMIN」の特徴であるノイズ耐性や高い剛性を維持しつつ、高精度な平坦性を実現できるキャビティ形成技術を開発。キャビティ部にイメージセンサーを搭載することで、カメラモジュールの薄型化に貢献することができるもの。

 HEMS/BEMS向け開発活発


 環境保全、省エネを配慮しながら社会インフラ分野でも大きな変化を見せている。その代表が家庭のHEMS,職場のBEMS。いずれも機器と機器のネットワークの構築が1つのテーマ。この分野でも情報通信に関するモジュールの開発が活発化している。

 ミツミ電機は、IEEE1901対応のHPGP PLCモジュール「DRT−A501」を開発した。双方向通信は今後ますます電気自動車や家庭、ビルのエネルギーマネジメントといったさまざまなアプリケーションへの展開が見込まれている。同社では、IEEE1901規格に認証されている堅牢でインテリジェントな接続を可能にするHome PlugGreen PHY方式を採用したPLC通信モジュールを開発した。新製品は、40×30×8ミリと小型で低消費電力のため、機器レイアウトや省待機電力に貢献する。周波数帯域は2−30メガヘルツ。電源は5V。

 ロームは、エネルギーマネジメントシステムの市場をターゲットにした920メガヘルツ帯特定小電力無線モジュール「BP3596」を販売している。

 すでに国内電波法認証を取得しているため、無線通信試験を行うことなくセットに組み込み、すぐに無線設備として使用できる。同社ではこの「BP3596」にさらにMCUを追加で内蔵したモジュールを開発中である。

 自動車分野は安全、信頼、快適などを求めて電装化率が高まっている。特に安全性の面では様々なシーンでカメラを効果的に使用している。車載分野での主な用途としては、後方確認用カメラ、ドライブレコーダ、フロントセンシング、サラウンドビュー用カメラに、ミラーの電子化に対応したカメラなど。

 SMKは100万画素NTSC出力の車載用カメラモジュールを開発した。現在量産中の100万画素LVDSデジタル出力のカメラのコア技術を応用し、車載市場で主流であるNTSC方式に対応したカメラモジュール。デジタルとアナログ両方式のラインアップを用意することにより、幅広い市場ニーズに応えることが可能になった。サイズは30×30×30ミリ。