LED関連部品・材料

高輝度化や放熱性、高効率化、長寿命化など追求

 電子部品・材料メーカーのLED関連部品・材料の技術開発が進展している。LED照明のさらなる高性能化や高効率化、長寿命化などに向けた技術提案が活発化している。

 LED照明用部品

 発光ダイオード(LED)を使用したLED照明は、低消費電力・長寿命などを特徴とする環境に優しい照明として普及が進んでいる。LED照明の種類は、LED電球やダウンライト、シーリングライト、LEDスタンドをはじめ、デジタルサイネージ関連、信号機、自動車ヘッドライト、街路灯、鉄道車両用など多岐にわたる。

 電子部品メーカーでは、今後もグローバルでの安定した成長が期待されるLED照明用に、次期ニーズに対応した技術開発を加速させている。回路部品、プリント配線板、電源、コネクタなどのメーカーは、LED照明の進化に照準を合わせた新製品開発を強化しており、既存部品のカスタマイズに加え、LED用の専用部品開発に注力している。

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LED照明用コネクタ<COBタイプ> (SMK)

 コネクタでは、産業用途向けLED照明用に、「COB(チップ・オン・ボード)―LEDソケット」の開発に乗り出す企業が増加。独自構造による優れた放熱性や信頼性、良好な作業性などが提案されている。

 次世代LED関連機器向けに、高輝度LED用耐熱部品や、LEDの長寿命化、ノイズ対策、耐光性向上等を実現する新製品開発が活発。コスト力強化を意識した部品設計や製造プロセス開発にも力が注がれる。

 LED照明用材料

 材料メーカー各社は、LED照明の高性能化や軽量化、トータルコスト削減などを実現する新規材料開発に力を注いでいる。

 LEDランプソケット材料では、アルミ製やセラミック製からの置き換えを目指した樹脂材料開発が活発。優れた強度の維持とともに、高熱伝導性で放熱性に優れた樹脂開発により、安全性向上や高い成形性、軽量化、トータルコスト低減などが提案されている。LEDチップを保護するLED封止材料は、高い耐熱性や耐光性を有し、かつ周辺部材の腐食を防ぐためのガス透過性低減を図った新材料などの開発が進む。

 LED照明基板材料は、高耐熱かつ高温時の機械安定性に優れた材料開発が活発。従来のLEDに比較し、最近の高輝度LEDは熱対策が一段と重要で、これらに照準を合わせた材料開発に力が注がれる。基板の薄型・軽量化に向けた新規グレード品拡充も進んでいる。

 LEDテレビのLEDバックライト用反射板材料では、個々のLEDパッケージの高出力化に対応し、従来比で耐熱・耐光性を大幅に高めた反射板材料開発に力が注がれている。高温環境での長期使用でも黄変が起きにくい新素材開発などが進展している。

 自動車用LEDヘッドライト

 自動車のヘッドライト用光源は、現在はハロゲンランプやHID(高輝度放電)ランプが主流だが、低消費電力化のため、徐々にLED化が進むことが見込まれている。車載LEDヘッドライトは、トヨタ自動車が07年に発売した「レクサスLS600h」で初めて実用化され、その後、高級車を中心に徐々に搭載車種が拡大。現状での国内の新車に占めるLEDヘッドランプ搭載比率は数%とみられるが、数年後には20―30%程度に高まることが予想されている。

 LEDヘッドランプのメリットは、優れた低消費電力性能や、発熱が少なく長寿命、小型化が容易―などがある。最近は輝度の点でも大きく性能が向上している。LEDヘッドランプは製造コストが高いため、高級車以外への搭載が遅れ気味だったが、最近は、照明技術やデバイス技術の高度化により、輝度を落とすことなく低コスト化や薄型軽量化などを実現した製品開発が進んでいる。

 燃費改善による1充電あたりの航続距離向上が必須の電気自動車(EV)などでは、自動車照明の省電力化が特に重要。このため、LEDヘッドライトを全車に標準搭載するEV車種もでてきている。

 LED技術応用分野

 LEDの応用分野は、インクの光硬化技術によるLEDプリンタや、LED照明を活用した植物の育成促進など、徐々に適応範囲が広がりつつあり、今後も新たなアプリケーションの拡大が予想される。環境に優しい照明技術の実現に向け、LEDの新規需要を促進する部品・デバイス技術の進化が期待されている。