コンデンサ、活発な製品開発

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電気二重層コンデンサ(ニチコン)
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コンデンサ静電容量比較(電圧−静電容量)

 
 コンデンサはスマホ、タブレット端末などのモバイル機器やAV機器などの各種デジタル機器で多数使われている。冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品から太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー、ハイブリッド車、電気自動車に代表される自動車、車両、産業機器まで幅広い分野で採用されている電子部品である。

 積層セラミック、アルミ電解、タンタル電解、フィルム、電気二重層などコンデンサの種類は多く、求める特性に応じて使い分けられている。

 積層セラミックコンデンサは薄いセラミック材料と金属電極を積み重ねるため小型でありながら大きな静電容量を得ることができる。比誘電率が高い強誘電体のチタン酸バリウムを主原料とする高誘電率系と、常誘電体の酸化チタンやジルコン酸カルシウムを主原料とする温度補償用に分けられる。

 スマホ、パソコン、デジタル家電などには高誘電率系が使用されている。ハイエンドスマホには400〜800個(うち超小型品300〜600個)が使われている。今春からは0402サイズの半分の実装面積ですむ0201サイズの量産が始まり、一段と小型化が加速する。温度補償用はテレビチューナ回路のほか静電容量を広げ、電源のスナバ回路、オーディオなどの用途開発が進んでいる。

 アルミ電解コンデンサは陽極用アルミニウム箔表面に形成された酸化被膜を誘電体とし、電解液を含んだ電解紙、陰極用アルミニウム箔からなる。小型品の表面実装タイプ、リード線タイプはECUやEPSの車載用途から液晶テレビ、照明用バラスト、電源、ゲーム機などに使われている。小型化、高信頼(長寿命)、高リプル対応の市場要求への対応が進んでいる。車載電源の48V化やLED照明での長時間保証、電源の入力平滑用の高容量化、出力平滑用での高リプル化への開発が急がれる。

 高耐圧化や長寿命化を追求

 大型品ではサーバー用電源向けでは小型、高容量化の要求に対し、より少ない箔による高容量、高収容化の開発が進んでいる。海外向けでは各国の電力供給事情を考慮した高耐圧化に取り組む。500V以上の定格電圧品を直列接続する太陽光発電、風力発電用途では構成部材の開発を含めた高耐圧化の開発が進んでいる。車載用途では構成部材の高信頼、高品質とあわせて高リプル化、長寿命化への開発が続く。

 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサは陰極材料にポリチオフェンやポリピロールなどの導電性高分子を採用し、小型、低ESR、高容量を実現。回路の小型化、低コスト化に貢献している。車載用などの耐高温度、耐振動性にも対応し、135℃の高温度対応品や40Gの強振動対応品を開発している。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは陰極材料に導電性高分子と電解液を併用。アルミ電解コンデンサと導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの中間的な特性を持たせ用途を広げている。

 電気二重層キャパシタは正負極の炭素電極と電解液の界面に生じる電気二重層に電荷を蓄える。負極にプラスイオン、正極にマイナスイオンを物理的に吸脱着させるため充放電速度が速く、充放電による劣化が少ない。小型品が携帯電話などのメモリーバックアップ用途で採用が進んでいる。大電流のエネルギーの出し入れができるほか、長寿命からエネルギー回生用途での利用が進み、建設機械、太陽光発電、風力発電、自動車などの大型用途にも市場が拡大。高電圧化(高エネルギー化)、低抵抗化(高出力化)、85度C以上の高耐熱化などの開発が進んでいる。

 フィルムコンデンサは箔電極タイプと蒸着電極タイプがある。汎用品にはポリエチレンテレフタレート(PET)、高機能品にはポリプロピレン(PP)、耐熱品にはポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が使われる。

 高耐電圧、長寿命、高信頼性、メンテナンスフリー、周波数特性が良好、安全性が高い、極性がない、などの特徴を生かし、民生用途から産業用、車載用、鉄道、車両、電力送電まで幅広く分野で採用されている。

 ハイブリッド車や電気自動車は主にPPに金属を蒸着して内部電極にした蒸着電極タイプが使用されている。