小型モーターメーカー 自動車電装市場への展開強化

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パワーウインドウ用モーター

 
 小型モーターメーカー各社の自動車電装市場への取り組みが一段と加速している。各社は、車載電装関連市場を中期での最重点市場に位置付け、同市場への経営資源集中を推進。今年度第1四半期決算(4―6月)でも、車載市場で大きく実績を拡大した企業が目立っている。

 車載用モーターのポテンシャルは、車の電子装備化率上昇やEV/HEV化の進展に伴い、長期の拡大傾向が続いている。

 車載電装用モーターの用途は、電動ミラー駆動やドアロック、パワーウインドウ、ウォッシャポンプなど多彩。

 このほか、ヘッドランプ光軸調整や電動パーキングブレーキ、ランバーサポート、トランクロックオープナ、プリテンショナルシートベルトなど多様な用途で使用されている。さらに車の電子化に伴い、電動パワーステアリングやバッテリ冷却用などの需要も増加している。

 世界的な自動車生産台数の堅調な増加と、電子化/EV化進展により、車載電装用モーター市場は、今期4月以降も好調が続いている。このため、モーターメーカー各社は車載市場を一段と重視し、新たな車載アプリケーションなどに照準を合わせた技術開発や営業・マーケティングを強化。今年度Q1でも、車載用モーター事業の好調な拡大が目立っている。

 マブチモーターは今年度上期(1―6月)の自動車電装機器用モーター売上高が前年同期比21・4%増の380億4700万円と大きく増加。パワーウインドウ(PW)用やドアロック用、ミラー用、パワーシート(PS)用などがそれぞれ好調に増加した。上期売上高に占める自動車電装機器市場向け比率は64.9%に上昇した。通期売上高に占める自動車電装機器用の比率は65・1%に高まる見通しで、「今後もさらに売上比率が上がっていく見込み」(大越博雄社長)。

 重点製品の中型電装用モーターの上期売上高は、PS用モーターは高付加価値モーター投入により前年同期比約5割増を達成。新たに投入したEPB(電動パーキングブレーキ)用や、エンジン吸排気用モーターも用途別標準品の拡販が進展している。

 日本電産は今年度Q1(4―6月)の車載事業売上高が、日本電産エレシス(旧ホンダエレシス)などの新規連結もあり、前年同期比74.3%増と大幅な増収となった。「ホンダエレシス買収での相乗効果が予想以上に上がっている」(永守重信社長)。

 売上げ3千億円へ

 同社は、車載用モーター事業を中期での事業拡大のための重点事業の一つに位置付け、15年度には車載用の売上高を3千億円に拡大する方針。車載事業拡大へのキーワードに「電動化」「自動化」「モジュール化による付加価値の進展」を掲げ、モーター単体からシステム化、モジュール化への高付加価値シフトを加速させていく。