進む高性能化、活発な新製品開発

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パワコンのキーデバイスである電流センサーは小型・高精度化する
(60A対応が23.2×12.7×18.7ミリサイズ)
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1600A定格の大電流対応を
480×200×190ミリサイズで実現した
メガソーラー用ACノイズフィルタ(双信電機)

 新エネルギーとして太陽光発電システムの普及が本格化している。この太陽光発電では、ソーラーによって発電された直流電力を交流電力に変換して負荷用電源として使用するためのパワーコンディショナ(パワコン)が中枢機能を有する。パワコンは、特に小型、高効率、高信頼性などが要求されている。そのため、パワー用部品の小型、高性能化に向けた新製品開発が活発化している。
 パワコンの構成は、太陽電池パネルで発生した直流電圧を一定電圧に昇圧するチョッパ回路(DC―DCコンバータ)と昇圧された直流電圧を負荷側に供給する交流電圧に変換するインバータ回路(DC―ACインバータ)の2つのスイッチング回路から構成されている。
 DC―DCコンバータ、DC―ACインバータではパワー半導体・スイッチング素子が用いられる。家庭用ソーラーの2kWクラスではパワーMOSFETが用いられ、メガソーラーでは600―1200V以上の耐圧を持つIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)が使用されている。
 スイッチング素子におけるスイッチング損失とオン抵抗の双方を低減することで電力変換時の効率を高めることができる。
 今後さらなる高耐圧化が求められることに対応。炭化ケイ素(SiC)などのパワーデバイスへの応用が注目されている。

低損失で高信頼性のコンデンサ開発


 コンデンサ関連では、コンバータ回路から供給される昇圧出力電圧の平滑、およびインバータ回路の電源電圧を安定化する役割として、アルミ電解コンデンサの採用が一般的。低損失でしかも小型軽量な特性が要求され、ねじ端子型や基板自立型などを対象に高静電容量電極箔、高温度環境下でもイオン伝導度がほとんど変化しない電解液を採用した低損失で信頼性の高いアルミ電解コンデンサが相次いで開発されている。
 フィルムコンデンサにとっても、パワコンは一大市場になっている。コンバータ、インバータの入出力フィルタ、インバータの主回路など、様々な回路で用いられる。
 コイル関係では、リアクタ、スイッチングトランス、電流センサー、チョークコイルなど、多くの巻線応用部品が使用されている。
 リアクタには飽和磁束密度が高くて鉄損の小さいコア材料が必要である。最近では、ケイ素鋼板に加え、ダスト(圧粉)コアやアモルファスコア、フェライトコアの採用も始まった。プロセス技術では、一般的にはコアに丸型銅線を巻線するが、最近では各種コアに平角線を縦巻線した構造のエッジワイズコイルが用いられている。また、線材ではコストを配慮してアルミ線を利用するケースが増えてきた。
 電流センサーは、ホール素子を応用した製品が一般的に採用されている。電流に対して敏感にしかも高精度で検知できる製品が望まれている。また、磁気回路を利用しているため、誘導ノイズを発生しない工夫が施されている。

 小型・ハイパワー対応の抵抗器


 パワコンで使用される抵抗器は小型でハイパワー化が求められている。抵抗エレメントとして特に巻線、酸化金属などが用いられている。いずれもハイパワー化のほか、高耐圧タイプから高精度タイプ、低抵抗タイプなど、様々な機種が製造できる。
 しかもモールド、セメントなど外装も用途に対応して様々な設計が可能。また、信頼性を向上するためにヒューズ内蔵タイプなども製造される。
 パワコンで使用されるノイズフィルタは、DC側とAC側にLC構成のパワーラインノイズフィルタが使用される。DC用は、ソーラーパネル側への電導ノイズを抑制し、パネル側からの高周波ノイズ放射を低減する目的で使用される。
 一方のAC用はインバータへのノイズ、商用電源へのノイズを抑制する目的で使用される。いずれのノイズフィルタも一般的にメタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサと低損失フェライトコアベースのコイルから構成される。