スマホやP C 、デジカメから自動車、医療関連、産機まで

高周波デバイス・モジュール広がる用途、活発な製品開発

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Wi−SUN対応の汎用無線通信モジュール(ローム)

 電子部品メーカー各社の高周波デバイス・モジュール開発が活発化している。高周波デバイスの用途は、スマホ/タブレット端末やパソコン/パソコン周辺機器等の情報通信端末のほか、DSC、自動車、省エネ関連、医療機器/ヘルスケア関連、FA/産業機器など広がりをみせている。各社は、高周波技術や微細回路技術などを駆使した超小型・低消費電力で使い勝手の良い製品開発を強化し、差別化を推進する。

 高周波の明確な定義はないが、無線通信分野では一般的に数十kHz以上の周波数帯域を高周波と呼ぶことが多い。

 高周波部品の用途は、スマホやタブレット端末などの移動体通信端末をはじめ、薄型テレビやBDレコーダなどのAV機器、家庭用ゲーム機、パソコン/コンピュータ、通信機器、FA機器、車載用、社会インフラ関連など幅広い。

 特に今後は、HEMS/BEMSなどのエネルギーマネジメントシステム(EMS)市場の本格化により、白モノ家電やスマートタップ、スマートメーター(次世代電力計)などの用途でのワイヤレス通信モジュール需要拡大も見込まれる。医療/福祉/ヘルスケア関連分野でも、無線通信技術の活用が広がっていく見込み。

 V2Xモジュール技術開発進む

 自動車用途では、従来からの車内機器接続用途に加え、車車間や路車間、歩車間等の無線接続用途に対応するV(ビークル)2Xモジュールの技術開発が進展。信頼性に優れた無線通信が可能なIEEE802.11p(5.9GHz)規格対応モジュールなどの開発が進められている。

 このほか、ビニールハウスでの高級農作物遠隔管理といった農業分野での無線技術の活用や、トンネルや橋梁などの社会インフラの老朽化対策としての構造物健全度モニタリングなどの用途への活用も進められている。これらの用途拡大に合わせ、各種高周波デバイスや通信モジュールの需要は、今後も安定した成長が見込まれている。

 機器の小型・高性能化や高精度化、通信の高速大容量化、ワイヤレス化などの進展に伴い、高周波モジュールやアンテナには、さらなる高性能化や高品質化、小型軽量化が要求されている。電子部品メーカー各社は高周波技術や微細回路技術、ソフトウエア技術などを駆使した、超小型・低消費電力で使い勝手の良い製品開発に力を注いでいる。

 無線通信モジュールの種類には、Wi―Fiやブルートゥース、ZigBee、Z―wave、EnOceanなどがあり、異なる無線通信仕様に1パッケージで対応できるコンボモジュールの開発にも力が注がれている。

 最近は、ブルートゥースの新たな低消費電力規格である「ブルートゥーススマート」に準拠したモジュール開発に乗り出す企業が増加。同仕様は既存のクラシックブルートゥースと比較し大幅な低消費電力化が可能。このため、従来は無線機能が非搭載だった機器への搭載も可能となり、腕時計やスマホ用周辺機器などで実用化されている。

 日本では11年7月の地上波放送のアナログ停波に伴い、新たに920MHz帯がISMバンドとして割り当てられたことから、Sub―G帯無線通信モジュールなどの開発も活発となっている。

 920MHz帯の市場拡大期待

 920MHz帯は、国内では12年に解禁された。長距離伝送が可能で障害物回避性能に優れ、スマートハウス/スマートメーターやセンサーネットワークなどの分野での市場拡大が期待されている。

 薄型テレビやBDレコーダなどで需要拡大が期待される双方向通信が可能なRF(電波)方式リモコン用では、ZigBee RF4CEプラットフォーム準拠の2.4GHz帯アンテナ一体型RFモジュールの製品化も進んでいる。

 ZigBeeやEnOceanなどを駆使した次世代照明制御システムなども開発され、無線化による調光用配線の簡素化やフレキシビリティの向上、施工期間の短縮/低コスト化などが提案されている。

 高周波部品各社は無線モジュールの超小型化に向け、高機能基板への部品内蔵、微細チップ部品による両面実装、高密度解析技術や構造評価技術等を駆使し、パッケージング技術を追求。従来比で大幅な小型化を図った製品開発を推進している。ソフトウエアやアンテナ技術等を駆使した最適設計とともに、グローバルでの接続検証サポート体制構築などに力が注がれている。