アルミ電解コンデンサメーカー 海外で大型品の生産増強

自動車や産機、白モノ家電向け 成長分野伸ばす

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アルミ電解コンデンサメーカーは大型品の海外生産を増強
 アルミ電解コンデンサメーカーが海外工場で大型品の生産体制を増強している。民生機器向けの需要が低調に推移しているものの自動車、産業機器、白モノ家電向け市場が拡大。各社では重点生産品目を民生機器向けの小型品から、高付加価値の大型品へと移行している。

 中国、ASEAN地域におけるアルミ電解コンデンサの需要は、薄型テレビをはじめとする民生機器向けから自動車向け、エアコンなどの白モノ家電、インバータといった産業機器関連向けが伸びている。特に大型リードタイプ、基板自立形(ラグ端子形)、ねじ端子形といった大型品の市場が拡大してきた。そのため、主要各社では相次いで生産品目を成長分野向けにかじを切り、現地での生産体制を強化、拡充している。

 日本ケミコンの生産子会社である中国・無錫市の貴弥功(無錫)有限公司はφ10―φ18サイズのリードタイプを主力としているが、各種電源の1次側平滑用やインバータ向けで大型品の生産規模が拡大。さらに、10年12月から生産を開始した最大φ89サイズまでのねじ端子形も大容量インバータなど、産業分野で月産10万個内外まで増えてきた。

 ケミコンマレーシアは基板自立形の生産に特化した工場。11年2月に拡張した新工場に移転。φ20―φ40サイズクラスを量産。中でも産業用のインバータや電源向け、白モノ家電用が伸びているという。

 販路とシェア拡大

 ニチコンの中国・無錫市の尼吉康電子(無錫)有限公司はチップタイプ、リードタイプ、さらに基板自立形、ねじ端子タイプと総合的に量産。中でもインバータエアコン向けの大型品を中心に、販路拡大とシェア拡大に向けた取り組みを強化。大型品については12年度を100とした場合、13年度が165、14年度が180、15年度の見通しは200と大幅な伸びを示している。

 ニチコン(マレーシア)は高付加価値化製品の生産を強化。車載向けの生産増強を展開しているほか、エアコンなどの白モノ家電、産業用インバータなどに向けた大型品の生産も増やしている。

 ルビコンのインドネシア・バタム島にあるルビコンインドネシアはローエンド汎用品の量産工場としてスタートしたが、現在は基板自立形、リード線タイプの細径・長L寸品などのハイエンド品までルビコン全生産品のカテゴリをカバー。産業用インバータ、エアコンをはじめとする白モノ家電向けの生産体制も増強している。  エルナーはタイとマレーシアでアルミ電解コンデンサを量産。その中で、タイの子会社・タニンエルナーにおけるチェンマイ工場では、リードタイプの大型品の生産能力拡大に向けた設備投資を実施。欧米系の車載電装向けの受注が活発化しているため。