超小型電子部品 次期ニーズに合わせ活発な製品開発

高性能モバイル端末やウエアラブル端末の軽薄短小化に対応

 電子部品の小型・薄型化が一段と進んでいる。スマホを中心とする高性能モバイル端末の薄型・高機能化進展に伴い、搭載される電子部品への軽薄短小化要求は一層厳しさを増している。スマートウオッチをはじめとするウエアラブル端末では、従来のスマホ向け以上に、部品の超小型化が要求されている。このため、電子部品メーカー各社は、次期ニーズに合わせた部品の先行開発を推進し、他社の一歩先を行く新製品の提案に全力を挙げる。

 回路部品

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スマホ向けパワーインダクタ〈外形サイズ2.5
×2.0×1.2ミリメートル〉(アルプス・グリーン
デバイス)                      

 スマホの薄型・高機能化進展に伴う高密度実装化要求に対応し、回路部品の超小型化追求が活発化している。積層セラミックコンデンサ(MLCC)や抵抗器、インダクタなどでは、ハイエンドスマホ向けに、0603サイズ、0402サイズなどの極小チップの採用が進展。加えて、0.25×0.125×0.125ミリメートルの0201サイズの超小型品の実用化も進みつつある。

 スマホでの1充電あたりの使用時間長寿命化へのニーズに対応し、モバイル機器向けに、電力変換時の低損失化が図れる小型パワーインダクタの開発にも力が注がれている。スマホのマルチバンド化で需要が急増しているSAWデバイスの小型・高性能化も追求されている。

 接続/変換部品

 接続部品は、ハイエンドスマホ向けに内部接続用コネクタの低背・狭ピッチ・省スペース化が一段と追求されている。基板対基板コネクタは、0.4ミリピッチコネクタの低背化が進み、高さ0.6/0.5ミリメートル品などのバリエーション拡充が進展。一層の狭ピッチ化を追求した0.35ミリピッチ基板対基板コネクタも本格化している。FPC接続用コネクタは、0.3ミリピッチコネクタのバラエティ拡充に加え、0.2ミリピッチ品の投入が進んでいる。スマホのバッテリ接続用に、嵌合高さ0.6ミリメートルのFPC対基板用コネクタなども製品化されている。

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嵌合高さ0.6ミリメートルのスマホバッテリ接続用
FPC対基板コネクタ(SMK)             
 カード用コネクタは、高さ1.15ミリメートルの超薄型形状のナノSIM用コネクタや、基板落とし込み構造により実装高さ1ミリメートル以下を実現したマイクロSDカード用コネクタなどが製品化されている。

 変換部品は、スマホ用にMEMSマイクの超小型化が進展している。SPVパッケージ(外形サイズ2.75×1.85ミリメートル)品の量産化が本格化しているほか、SPNパッケージ(外形サイズ2.70×1.60ミリメートル)品なども近く量産化が進む見通し。

 センサー

 スマホの薄型・高機能化に対応する超小型デジタル出力センサーの開発が加速している。スマホ内蔵センサーは、スマホの高機能化に伴い、端末1台あたりの付加価値が今後も向上していく見込み。部品各社は、高密度実装ニーズに対応し、MEMS技術などを活用した新型センサー開発に一段と力を注いでいる。

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スマホやウエアラブル機器向けの高度気セン
サー〈パッケージサイズ2.0×1.9ミリメートル〉
(ミツミ電機)                     
 スマホへの搭載が増加している気圧センサーは、パッケージサイズ2.0×1.9ミリメートルの超小型高度気圧センサーが開発された。小型かつ優れた分解能による高検出精度が追求されている。

 スマホへの標準搭載化が進む地磁気センサーもここ数年で急速が小型化が進展し、1.2ミリメートル角サイズの3軸地磁気センサーなどの量産が本格化している。

 このほか、デジタル湿度センサーや照度センサーなどの超小型・高精度化追求も進んでいる。モバイル機器向けタッチセンサーの薄型・高感度化追求も進む。

 無線通信モジュール

 スマホやウエアラブル機器、IoT端末などの機器向けに、無線通信モジュールの小型化追求が進んでいる。ブルートゥースモジュールは、外形サイズが4ミリメートル角以下の超小型モジュールなども開発されている。ブルートゥースの低消費電力規格「ブルートゥース・ロー・エナジー」に対応したブルートゥーススマートモジュールの開発も進展。HEMSなどでの需要増大に照準を合わせ、920MHz帯特定小電力モジュールの開発に乗り出すメーカーも増加している。

 同時に、ToT関連での需要を視野に、複数のセンサーと無線通信モジュールを1パッケージ化した無線センサーネットワークモジュールの製品化も活発化している。