アルミ電解コンデンサ 基板自立型の開発活発

小型化、高電圧化など進む

 アルミ電解コンデンサメーカーが相次いで基板自立形の新製品を開発している。産業機器から白モノ家電まで需要が伸びているインバータをはじめ太陽光発電、サーバーなど幅広い電源に対応する。小型・大容量化、長寿命化、高電圧化などの開発を活発化。国内生産に続き、海外工場でも順次量産、供給を開始する計画だ。

 ニチコンは600V定格の「LGNシリーズ」、105度2千時間保証超小型化品「LGMシリーズ」を相次いで開発した。基板自立形では、これまで500V定格品をラインアップしていたが、高電圧化ニーズが高まっていることに対応して、LGNシリーズを開発した。4月から量産を開始しており、順次、中国・無錫工場、マレーシア工場でも量産する。

 LGNシリーズ600V定格は、高耐電圧酸化皮膜を擁する高信頼電極箔のほか、長期安定性があり高電圧での皮膜修復能力を高めた電解液、および高耐電圧電解紙を採用することで、業界最高電圧を実現したもの。特に電解液については、組成の最適化を行って約20―30%の高耐圧化を図り、105度600Vの高電圧に耐える電解液を新規開発した。

 LGMシリーズは、新規開発した高容量電極箔のほか、耐久性に優れる電解液および電解紙を採用することで、業界最小の製品サイズを実現。この結果、現行のLGLシリーズに比べて最大で16%(体積比)の小型化を達成し、省スペース化を図った回路設計に最適。

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日本ケミコンの「KLAシリーズ」
 日本ケミコンはエアコンなどの白モノ家電向けに「KLAシリーズ」を開発した。ケミコン福島において、5月から月産10万個で量産を開始し、ケミコンマレーシアでも順次生産する。

 新製品は、より長時間の信頼性が求められる白モノ家電に向けて、従来品の「RLAシリーズ」から高温対応化を進め、105度3千時間保証を実現した高許容リプル電流品。

 定格電圧は180―250V。静電容量は600μ―2000μF。サイズはφ30×35―φ35×55ミリ。

 ルビコンは昨秋から、新たに「USK/VXKシリーズ」「UFG/HFGシリーズ」の量産を開始した。長年にわたる高倍率電極箔の開発ノウハウと、それを高精度に巻き取る製造技術開発に加え、製品設計の最適化により静電容量収容効率も向上させた。

 USKシリーズは、85度品で業界最高水準レベルの小型化(同社従来品:USHシリーズと比較では最大2割小型化)を実現した。VXKシリーズは、105度長寿命品で業界最高水準レベルの小型化(同社従来品:VXHシリーズと比較では最大2割小型化)を実現した。

 UFGシリーズは、85度1万時間保証。HFGシリーズは、105度5千時間で高リプル対応。