電子部品各社

MLCCタイトな需給続く

 積層セラミックコンデンサ(MLCC)はスマホなどの通信需要に加え、車載需要の急増でタイトな需給状況が続いている。年間1兆個のMLCCを生産し、世界シェア40%のトップメーカー村田製作所の9月末のコンデンサ受注残高は、過去最高となった3月末からさらに470億円増え1956億円だ。10、11月も車載需要は依然旺盛で、MLCC全体の需要の伸びに大きな変化はない。19年からは次世代移動通信5Gインフラ投資やIoT向けの新規通信需要が本格化する。MLCCメーカー各社は積極的な増産投資と小型品へのダウンサイジングで供給能力増に取り組むが、需要がそれを上回り「19年いっぱい繁忙感は変わらない」(薗田聡・村田製作所常務執行役員営業本部長東京支社長)ようだ。

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 MLCC需要を大きくけん引している車載用は、電装化の進展、ADAS(先進運転支援システム)搭載比率増、EV(電気自動車)の普及、ECU(電子制御ユニット)の集積化などで員数が増加した。小型化、大容量化ニーズも加わり需要が急増。1台当たりの搭載数は3千-8千個になっている。最新スペックのEVでは1万個以上のMLCCが使われる。

 今後、自動運転レベルの向上が進むことで各種センサーのデータを高速処理するため消費電力が増え、MLCCの大容量化、員数増加が加速。業界ではレベル1で約2千個、レベル2で約3千個、レベル3約4千個、レベル4約4千個以上のMLCCが使用されるとみている。

 車載市場を新たな基盤市場と位置付ける村田製作所は電動化、ADAS/自動運転化といった自動車自体のIn―Carプラットフォームのほか、自動車と自動車、自動車と交通インフラといったOut―Carプラットフォームの両方の需要に対応。車載用途に要求される高温保証、ショートリスク対策、長期信頼性、高電圧対応などの技術や供給力を担保し「これまでに培ってきた技術と信頼でお客さまに選ばれるMLCCメーカーで在り続ける」(村田恒夫会長兼社長)ことを目指す。

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 このためMLCCメーカー各社は自動車メーカー、電装メーカーとの取り組みを強化する。村田製作所は両者との技術交流会を積極的に行い技術課題の解決を図る一方、MLCCのタイトな需給状況下で供給責任を果たすため、車載用で主流の1608以上の大型サイズから1005、0608の小型サイズへの切り替えを両者に依頼。200_角グリーンシートからのチップ取り数増加で供給能力増を図る。

 まず、ADAS周りやコネクテッド通信、ドライブレコーダなどから1005への切り替えを進める。高電圧化で小型化が難しいパワートレイン(エンジン)系も3者で技術課題解決に取り組み、ダウンサイジングを急ぐ。

 通信用は主力のスマホ向けで買い替えサイクルの長期化もあって、台数成長の鈍化はあるものの、高機能化、多機能化の進展、IC性能の向上、センサー搭載数の増加、カメラの複眼化、バッテリの大型化などでLTE―Advanced端末や5G対応端末の比率が拡大。

 村田製作所は18年度のLTEが前年比1億台増の13億台、2G/3G1億2千万台減の3億9千万台と、携帯電話全体で2千万台減の16億9千万台(うちスマホ1千万台増の14億7千万台)を予想する。
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 MLCCの搭載員数は増加し、2G/3Gの100-200個が、ローエンドスマホで200-400個、ハイエンドなら1千個前後。「5G技術の導入によりMLCCの高温対応、高電圧対応、低背化の要求はさらに高まり、より高品位なMLCCが求められている」(村田会長兼社長)。

 車載、通信など幅広い市場でのMLCCの需要増に対応し、MLCCメーカー各社は思い切った増産投資を実施している。村田製作所も18年度に過去最高となる3400億円(前年比334億円増)の設備投資を行う。そのうち2200億円をコンデンサ、電池を中心とした増産に充てる。今年竣工したフィリピン、岡山、着工した福井、出雲、中国・無錫のMLCC増築棟、新棟に合計1千億円を投資。19年3月末に17年3月末比10%のグローバル生産能力増を計画している。