新たなヒト血液型「KANNO」国際認定

国立国際医療研究センターなど日本の研究グループで 初めての登録

 国立国際医療研究センター、日本赤十字社、福島県立医科大学は、ヒトゲノム解析により、これまでに国際輸血学会に登録されている36種類の血液型に加え、37種類目の新たな血液型「KANNO(カノ)」を特定し、国際輸血学会の血液型命名委員会から認定を受けた。これは日本の研究グループが特定した初めての血液型となる。

 新たな血液型KANNOを決める血液型抗原は、プリオンタンパク質というクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の原因となる分子であり、今回特定された血液型を決める変異はプリオン病抵抗性との関連も注目される。

 多くの血液型の中でもABO血液型とRh血液型は、輸血をする上で極めて重要な血液型であることが知られている。しかし安全で有効な移植や輸血のためには、そのほかの血液型も一致することが重要であり、これまでに36種類の血液型が国際輸血学会によって公認されていた。

 今回、共同研究チームは、日本医療研究開発機構(AMED)による支援の下、ゲノムワイド関連解析とエクソームシークエンス解析という先端的なゲノム解析を行い、KANNO抗原を担う遺伝子の特定を目指した。

 その結果、調べたKANNO(−)型の18人全員で、プリオンタンパク質の219番目のアミノ酸が、グルタミン酸(E)からリシン(K)に変化する遺伝子変異(E219K)を、2本の染色体両方(ホモ接合)で持つことを見いだした。

 さらに培養細胞でそれぞれの遺伝子を発現させると、KANNO(+)型プリオンに対してのみ抗KANNO血清(抗体)が結合した。  すなわち、KANNO(−)型ではプリオンにE219Kの変異があり、グルタミン酸型プリオンに対する抗体を持つことが確認され、KANNOが新たな血液型抗原であることを確定できた。

 KANNO抗原という、既知の血液型と一致しない血液を持つ人の全ゲノム解析を行って、その血液型抗原および変異を特定し、KANNOが新たな37番目の血液型であることを明らかにした。

 これは日本の研究グループが原因を特定した初めての血液型であり、このほど国際輸血学会から血液型KANNOとして認定を受けるに至った。

 その抗原は意外にもプリオンタンパク質だった。KANNO(−)型ではこのタンパクの一つのアミノ酸が変化している。

 新たな血液型抗原として特定されたプリオンタンパク質は、ヒトでのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)などプリオン病の原因分子としてよく知られる。

 E219Kの遺伝子変異は、日本人以外のアジア人集団でも5%程度の割合で存在しており、数百人に1人がホモ接合で有することから、アジア人において移植や輸血のために重要なことが明らかとなった。

 興味深いことに、この変異を一つの染色体に持つ場合(ヘテロ接合)にはクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に強い抵抗性を持つことが知られており、この血液型とプリオン病との関連も注目される。

 さらに、今回の解析手法を、既知の血液型と一致しないほかの患者に適用することにより、新しい血液型が特定されていくことにも期待がかかる。