ジンズホールディングス

近視進行抑制メガネ型医療機器を皮切りに管理医療機器事業に本格参入

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バイオレットライトを使った近視進行抑制メガネ型医療機器のコンセプトビジュアル

 ジンズホールディングス(JINS)は、近視進行の抑制に効果があると考えられている光「バイオレットライト」について、慶応義塾大学と共同プロジェクトを開始した。20年以降に治験を実施した後、世界初となるバイオレットライトを使った近視進行抑制メガネ型医療機器≠フ製造販売承認の取得を目指し、管理医療機器事業に本格参入する。同機器の開発は、メガネの「視力補正」という根本的な役割を、「近視の進行そのものを抑制するソリューション」へと拡大させる。

 50年には全世界の人口のうち49.8%(47億5800万人)が近視に、9.8%(9億3800万人)が失明リスクのある強度近視になるという調査報告がある。近視は年齢にかかわらず進行するだけではなく、日本においては緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性に次いで、失明原因の第4位が強度近視。また、近視が進んで強度近視になると、約3人に1人が失明を含む視覚障害を発症するという疫学調査もある。

 文部科学省の17年度学校保健統計によれば、国内の小中学生における裸眼視力1.0未満の割合が過去最高になるなど、近年、視力の低下傾向が顕著。

 こうした問題を解決する鍵として注目されるのがバイオレットライトだ。バイオレットライトは、太陽光に含まれるブルーライトよりさらに短い波長360―400ナノメートル領域の紫色の光。慶応義塾大学によるヒヨコを用いた基礎研究、およびヒトでの臨床研究の両方からの検証で、バイオレットライトは近視の原因である眼軸長の延伸を抑える遺伝子「EGR1」に働きかけ、近視進行を抑制する効果があるとの研究成果が報告されている。

 しかし、窓などの現在一般に普及しているUVカット機能を備えたガラスはバイオレットライトを透過しないものがほとんど。屋内活動が中心になりつつある現代社会では、屋内環境においてバイオレットライトを浴びる時間が減り、近視進行の危険性が増していることになる。

 このような状況を受けJINSは、慶応義塾大学との協業により、世界初となるバイオレットライトを使った近視進行抑制メガネ型医療機器の開発に着手した。20年以降に治験を開始し、製造販売承認の取得を目指す。

 対象には、近視が進行しやすい6―12歳の小学生を想定する。

 屋外環境におけるバイオレットライトの放射照度の範囲を基に自然な太陽光の照度を忠実に再現。フレーム内側に搭載される照射ライトから、小学生が屋外環境に3時間滞在しているのと同等量の照度のバイオレットライトを放射する。

 ライトが直接視界に入らず、外側からも見えない構造設計とするほか、自然な見た目で普通のメガネと変わらないデザインを目指す。フレームには、子どもの使用にも安心な軽量性・弾力性に優れた素材を採用する計画だ。