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10月31日071031_02 サムスン 半導体集積回路 メモリー デジタル情報家電用

既存の液浸ArF(フッ化アルゴン)露光装置を活用した世界初の30ナノメートルプロセスを使用した64ギガビットNAND型フラッシュメモリー



 韓国のサムスン電子は先週、世界初の30ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセス技術を使用し、業界最大容量の64ギガビットNAND型フラッシュメモリーの開発に成功したことを明らかにした(24日付既報)。同社の30ナノメートル技術は、既存の液浸ArF(フッ化アルゴン)露光装置を活用するもので、新たな投資をせずに30ナノメートルや、さらに微細な20ナノメートル技術への移行が可能であることを示した。

 30ナノメートルは、毛髪の4千分の1という超微細サイズ。サムスンは現在、NAND型フラッシュメモリーの生産に50ナノメートル技術を適用しており、08年には40ナノメートルへの移行を計画している。

 30ナノメートルはさらに次の世代の技術で、これが商用的に利用可能となれば09年から11年までの3年間で、計200億ドルに上る新たなアプリケーション市場をつくり出せるという。

 サムスンの半導体統括メモリー事業部の全峻永常務も「新製品の開発で、NAND型フラッシュメモリー向けの新市場を開拓できる」と期待を込める。同氏によると、このメモリー製品で128ギガバイトのメモリーカードや、256ギガバイトのソリッド・ステート・ディスク(SSD)の製造が可能となる。

 SSDは、NAND型フラッシュとロジックコントローラを小型回路基板に集積したもので、ノートPC用1・8インチHDD(ハードディスクドライブ)の代替として対応できる。

 既存の40ナノメートル露光装置で30ナノメートルクラスのメモリーの製品化を実現するため、サムスンは今回、半導体製造における2つの革新的技術を使用した。

 理論上、30ナノメートル技術に到達するためには、回路焼き付けの光源として極端紫外線(EUV)を用いた新しい露光装置が必要となる。EUVの波長は、液浸ArFより短い。波長が短かければ、チップのピッチサイズをより狭めることが可能だ。

 液浸ArFが対応できるのは、最高でも40ナノメートルまでで、それ以降の微細加工技術にはEUVが適している。だが、EUV露光装置の商用化は10年以降とみられており、その間の空白を満たすために半導体メーカーが注目しているのが、2重露光技術(DPT)だ。

 DPTは、例えば30ナノメートルプロセスなら、2枚のフォトマスクを使って60ナノメートル幅の線を2回連続でパターニング。これによって線と線の間にもう一つの線を引く。問題は2つのパターンを正確に配置することが難しいため、歩留まりが低いことだ。また、DPT技術はフォトマスクを2枚使用することでコストが高くつくというデメリットもある。

 サムスンは、独自の自己整合(Sa)DPT技術によって、こうした問題に対応した。SaDPTではまず、シリコンウエハー上に1枚のフォトマスクを使用してパターニングを行い、60ナノメートル幅のトレースを作り出す。その上にSiO2(酸化シリコン)を蒸着させると、線と線の間にすき間が生じ、これをエッチング加工することでもう一つの線を形成するという仕組みだ。

 サムスンは今回、もう一つの革新的技術として、独自に開発したチャージトラップフラッシュ(CTF)を使用している。これは、電荷を不導体物質に保存するもので、セル構造の簡素化とサイズの縮小を実現する。昨秋、同社が発表した40ナノメートル技術による32ギガビットのNAND型フラッシュメモリーで、初めて採用した。

 SaDPTとCTFという2つの技術を結合し、30ナノメートルプロセスによる64ギガビットメモリーを開発したことで、サムスンは「フラッシュメモリーの集積度は1年で倍増する」という同社半導体総括社長、黄昌圭氏が唱えた「黄の法則」を8年連続で立証したとしている。
(ソウル支局)


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