電波プロダクトニュース



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日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
12月21日071221_01 ローム 半導体素子 ディスクリート 一般産業用

大電流容量が求められるハイブリッド自動車や産業用モーター向け世界初のトレンチ型シリコンカーバイド(SiC)MOSFETと1センチ角の大面積チップで300Aの大電流容量を実現したSiCショットキーバリアダイオード



 ロームは、世界初のトレンチ型シリコンカーバイド(SiC)MOSFETと1センチメートル角の大面積チップで300Aの大電流容量を実現したSiCショットキーバリアダイオード(SBD)の開発に成功した。

  数百AクラスのフルSiCモジュールの開発が可能となり、大電流容量が求められるハイブリッド自動車や産業用モーターへの適用が期待できる。ともに08年後半に評価サンプルを出し、09年の商品化を目指す。

  京都大学木本研究室、東京エレクトロンと共同開発したSiCエピ製膜装置を使った。

  トレンチ型SiCMOSFETは、新しいドライエッチング法でトレンチ側面の加工ダメージやデポの除去技術を確立した。

  特殊なイオン注入技術で不純物層を高度に制御し、界面順位が10の11乗以下とSiレベルのトレンチ型SiCMOSFETを作製できた。900V耐圧でオン抵抗2mΩ平方センチメートル台の性能を確保。試作した3ミリメートル角チップで100Aを超える大電流を流せることを確認した。

  このクラスで世界最小の同社開発プレーナ型SiCMOSFETのオン抵抗は3.1mΩ平方センチメートルで、100Aの電流を流すには5−7ミリメートル角のチップ面積が必要だった。プレーナ型で存在していたJFET抵抗を周囲長が長くとれるトレンチ型にすることでなくした。

  JFET抵抗が存在しないため、セルの集積度をプレーナ型に比べ6倍に上げられ、低減がむずかしかったチャンネル抵抗を大幅に下げることができた。

  2mΩ平方センチメートルのオン抵抗は現在主流のSi−DMOSの約85分の1、Si−IGBTの約5分の1。SiC材料本来の性能に近い1mΩ平方センチメートル台のオン抵抗が期待できる。

  一方のSiCSBDは、新開発のSiC結晶欠陥場所を特定する技術と不活性化する技術を採用。現行の昇華法によるSiCの結晶化で生じるウエハー中のSiCの結晶欠陥の影響を排除し、ウエハー品質に左右されないデバイス作製を可能にした。

  これらによって従来5ミリメートル角チップで75Aぐらいの電流を流すのがやっとだったSiCSBDで、10ミリメートル角の世界最大クラスの大面積SiCSBDチップを作製できた。

  ワンチップで電流容量300A(順方向電圧1.5V)、逆方向耐圧660Vという大電流化と高耐圧化を実現した。

◎独立行政法人 科学技術振興機構(JST)イノベーションプラザ京都館長の松波弘之京都大学名誉教授の話
  ユニークな発想に基づいて、小面積のSiCMOS反転型FETで100Aの電流を扱えるレベルに到達でき、性能面でも従来の報告に比べて優れているなど、画期的な成果だ。耐圧と信頼性向上が進めば、数十kW級のオールSiCインバータが実現でき、電気エネルギー有効利用に大きく寄与すると期待できる。


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