非接触センサーテクノロジ


ここ数年、自動車業界では先進的な電子制御システムへの関心が高まっている。このようなシステムは、トランスミッション、エンジン・コントロール、排気モニタリング、セーフティアプリケーションなどに導入されてきており、それらすべてのシステムが非常に信頼性の高い正確な位置計測を必要としている。

タイコ エレクトロニクスは、自動車業界での豊富な経験と知識を生かし、非接触センシングテクノロジーを用いた多くの優れたセンサー製品群を提供している。これらのセンサーは、位置検知、速度、温度、CO2濃度、距離などの検出に使われている。

タイコ エレクトロニクスは世界の主要な自動車産業地域にカスタマー・サポート、設計・開発、製造拠点を持ち、車両開発の初期段階からお客様と密接な開発を行っている。これによりお客の生産性を改善するため、最善な技術的ソリューションを提供している。

自動車用センサー市場のリーディングカンパニーとして、1997年以来2500万個以上のセンサーを生産しており、それらはまた、同様の計測/検知を必要とする他産業においても利用されている。

<自動車用センサー>

タイコ エレクトロニクスはエンジンルーム内の高負荷環境で使用される、高性能な非接触センサー製品群をもち、次のような製品がアプリケーションに応じてカスタマイズされ、実用化されている。

・トランスミッションポジション/スピードセンサー
・クラッチポジションセンサー(図1)
・エンジンアクチュエータセンサー-スロットル、EGR、ターボチャージャ(図2)
・エンジンポジション/スピードセンサー
・EPAS(電動パワー)ステアリングポジション-トルクモーターセンサー


〔図1〕クラッチポジションセンサー


〔図2〕エンジンアクチュエータセンサー

車両の他の部位においても、以下のような非接触センサー製品群を提供している。

これら製品は高い信頼性と耐久性を持ち、また重要な制御システムやセーフティシステムにおいては、自己診断機能を有している。

・シートポジションセンサー(図3)
・ブレーキライトスイッチ
・コンバーチブルルーフスイッチ
・シートベルトバックルスイッチ
・ドアロックスイッチ


〔図3〕シートポジションセンサー

<センサーテクノロジー>

センサー開発においては、固有の計測要件の他に、使用環境条件などを考慮して適切なセンサーテクノロジーが用いられる。非接触の磁気センサーは耐環境性・耐磨耗性に優れるため、エンジンルーム内の重要なアプリケーションに使用される。とくに回転速度や位置の検出には、組み付けによる誤差や機械的接続の位置ずれを補正することが可能な磁気センサーが使用される。

タイコ エレクトロニクスではHallエフェクト半導体ソリューションに加え異方性磁気抵抗素子(AMR:Anisotropic Magneto-Resistive)によるセンサーシステムおよび永久磁石を利用したリニアポジションセンサーテクノロジー(PLCD:Permanent magnetic Linear Contactless Displacement)を提供する。AMR素子と磁気誘導PLCDセンサーは、とくに耐久性の高い磁気センサーとして位置付けられる。

両者とも磁気飽和を利用しており、搭載レイアウト要件に対し柔軟な対応が可能である。製品化にあたっては実用的な磁気回路を設計検討した上で、適切なセンサーテクノロジーを選択する。

材料の選定とテクノロジーの環境性能評価もまた重要である。最終的にはお客の要求仕様に対する性能・コスト・品質管理された最適な製造工程等を考慮して、材料およびテクノロジーが選定される。

一例として、エンジンルーム内のアプリケーションでは広範な温度環境、高振動、化学薬液への耐性などが要求され、センサーハウジングは頑強で確実なシーリング技術を必要とする。タイコ エレクトロニクスのセンサーハウジングは耐熱性樹脂を採用しており、その構造はレイアウト条件、コネクタもしくはケーブル要件により決定する。

密封および耐油シーリングを必要とする用途の場合は、内部電子部品を確実に保護するために、センサーハウジングは気泡が発生することなく樹脂充填を行い、ハウジングのカバーはレーザー溶接でシールされる(図4)。


〔図4〕シールドセンサー

また、必要に応じてセンサーアセンブリは樹脂により直接一体成形される。この一体成形により、非常にコンパクトで高耐振性のパッケージを実現する(図5)。


〔図5〕オーバーモールド(一体成形)アセンプリ

また、内部接続テクノロジーも非常に重要である。タイコ エレクトロニクスは、電気的内部接続にリード・フレーム、高耐熱プリント回路基板、ワイヤーケーブルを使用する。

信頼性の高い無ハンダ接続が必要な場合には、抵抗溶接、McGregor溶接、およびレーザー溶接などの溶接技術を用いる。

また、プリント回路基板への電気接続は、鉛フリーハンダもしくはタイコ エレクトロニクスのプレスフィット技術“アクションピン”が用いられる。

将来的に、多機能センサーのモジュール化の要求が拡大すると思われる。

複数のセンサー機能をひとつのモジュールに統合する場合、実績のあるコア技術の利用、一般的なコンポーネントを用いて標準化されたサブモジュールの使用、入出力インターフェイスを統合・削減することによって、製品の信頼性要求を満たすことができる。タイコ エレクトロニクスは、高度に統合されたセンサーモジュールを開発・設計・製造するためのコアとなる要素技術を提供する(図6)。


〔図6〕速度・位置センサーを統合した
トランスミッションコントロールハウジング

<タイコ エレクトロニクス アンプ(株)>