高速インターフェイスデバイス
次々と実用化、次世代規格策定も
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 電子機器間を行き交う電子データ量は、増加し続けている。かつては、企業が中心だった電子データの取り扱いは、デジタル機器の普及拡大で消費者・個人レベルでも増大。近年では、映像のデジタル化・高精細化により爆発的に電子データ量が増えている。それら大量の電子データを記録する媒体(ストレージ)は、HDDやフラッシュメモリーなど多様なものが登場し、それぞれ大容量化を図るための技術開発が行われている。また大容量のデータを電子機器やストレージとの間を伝送する各種インターフェイスも次世代規格が策定され、次々と実用化されている。

 パソコンや各種周辺機器、テレビ、携帯電話など多くのデジタル機器の普及した現在、それらの機器を融合させ、新たな利便性の提供が盛んになっている。その際最も重要になるのが、機器と機器を結んでデータをやり取りするインターフェイス技術であり、様々な規格が登場している。代表的なものに「USB」(Universal Serial Bus)がある。USBは現在、最新規格USB3.0の普及が加速しつつある。USB3.0は、データ転送速度が前世代の「USB2.0」に比べ10倍以上速い「毎秒5ギガビット」を実現している点が特徴。HD動画伝送時の利便性が格段に向上する仕様となっている。

 09年にUSB3.0を実現するインターフェイスLSIが発売され、ハイエンドパソコンや大容量外付けHDD/SSD機器を中心に普及が進んできた。そして12年春には、パソコン用プロセッサメーカーの提供するチップセットにUSB3.0制御機能が内蔵され、USB3.0がパソコンの標準的機能として一気に搭載率が高まっている。13年には、ノートパソコンでのUSB3.0搭載率は90%を超えると予想される。パソコンでの標準搭載化により、プリンタなど周辺機器でのUSB3.0対応も加速する見通しであり、USB2.0などと同様にテレビやレコーダ、カメラなどデジタル家電分野、スマートフォンなどモバイル機器分野への広がりも期待される。

USB2.0/3.0ケーブルで100W給電
さらにUSBの特徴である給電機能も、今後強化される。このほど、USBの給電能力を高める「パワーデリバリー規格」が策定された。USB3.0、同2.0のケーブルを使い、最大100Wの電力を供給できるようにする規格。13年にも同規格を実現する各種デバイスが出荷される見込み。

高速伝送と給電が行えるインターフェイス規格として「Thunderbolt」(サンダーボルト)が登場し、ハイエンドPCでの搭載が始まっている。Thunderboltのデータ伝送速度は10Gbps、給電能力は10WとUSB3.0を凌ぐ性能を持つ。また、ハブ型接続だけでなく、デイジーチェーン接続に対応している点や光ファイバーをケーブルに用い数十メートルという伝送距離を実現することも可能な仕様となっている。

HD動画伝送を主目的に開発されているHDMIも最新バージョンでは4K2Kと呼ばれる4096×2160画素という超高解像度映像の転送などに対応している。また動画、音声、制御信号のほか、イーサネット伝送もサポートする。今後は、毎秒60フレームの4K2K映像伝送に対応した次世代バージョンが登場する。また携帯電話などのモバイル機器向けのコネクタ仕様「MicroHDMI」なども定義され、利用の幅が広がることが期待されている。

TransferJetにも注目
ケーブルを使わずワイヤレスで高速インターフェイスを実現する技術の利用も広がっている。その一つに近距離無線転送技術「TransferJet」(トランスファージェット)がある。その通信距離は3センチ程度で、データを転送したい機器同士を「かざす」ことで通信ができる。転送レートは最大560Mbpsで、デジカメで撮影した画像を瞬時にパソコンに転送可能。一部のデジカメやパソコンで対応が進むほか、デバイスの小型化によりフラッシュメモリーカード内に「TransferJet」機能を取り込んだ製品なども発売されている。