半導体デバイス 進む技術革新

スマホやタブレット端末、自動車向けがけん引

 2014年も半導体デバイス技術はさらなる進化を遂げ、様々な機器の省エネ化、高機能・高性能化などを実現する。世界の主要半導体メーカー53社が加盟する世界半導体市場統計(WSTS)によると、14年は前年比4.1%増、15年は同3.4%増の3273億ドルとプラス基調で推移する見通し。スマホや車載向けがけん引し、メモリー、ロジック、アナログなどの増加を予想する。

<スマホ、車載がけん引する2014年の半導体市場>

 スマホやタブレットPCの世界的な市場拡大は半導体業界をけん引する。同時に微細化など半導体の技術革新を加速させている。世界のスマホ需要は17年には18億台を突破するという(米調査会社NPDディスプレイサーチ予測)。全携帯電話出荷に占める割合も13年の55%から82%にまで拡大すると予想する。スマホ市場の伸びをけん引するのは、アジア太平洋地域。とくに中国が力強い伸びを示し、13年は出荷数が前年比で63%増加。17年には、世界スマホ市場の30%を中国が占める見通しだ。

 EV/EHVは、20年に世界で年間600万台の市場に拡大するという予測もある。EV/EHVは1台に50マイナス100個、高級車になると200個のマイコンが搭載されるといわれ、ECUの頭脳としての役割を果たす。ソフトの容量も格段に増える。半導体ビジネスをけん引するのは必至。

 車載用アプリケーション(フリースケールの例)として先進運転支援システム ADAS)、ボディー・エレクトロニクス、シャーシとセーフティ、インフォテインメント、インストルメント・クラスタ、パワートレインとハイブリッド・システムなどがある。

<大容量化と低コスト化を実現する半導体パッケージング技術>

 半導体パッケージ技術は、デバイス間の接続を3次元化するSiP(システムインパッケージ)、フリップチップ方式を使ったPOP(パッケージオンパッケージ)やTSV(シリコン貫通電極)技術が加速している。3DIC(3次元IC)はチップを何層にも重ね、上下のチップ同士の接続をTSVで行う。メモリー・セルを一括プロセスで多段積層することにより、微細化に頼らず大容量化と低コスト化を実現する技術として注目されている。

<スマホ、タブレット向けBluetooth® Low Energyシステムの開発>

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 スマホやタブレット端末との連携により利便性が向上するアプリケーション(例えば時計や、ヘルスケア/フィットネス機器など)へのBluetooth® LE(Low Energy)の適応が加速している。これらは、低消費電力化の要求が強い。一方で無線システムを利用するためには、特定の試験サイトで規格の適合確認や各国で定められている電波認証が必須となるため、一からシステム構築を検討する場合は、無線やプロトコルの十分な知識が必要となり、商品化直前で足踏みしてしまうケースが想定される。

 このような状況の中、ラピスセミコンダクタでは業界トップクラスの低消費電流(送信時9.8mA、受信時8.9mA、2秒間欠動作時の平均電流8μA)を実現したBluetooth® LE対応LSI(ML7105−00x)を開発した。

<デジタル電源の負荷応答特性を大幅に向上させる「Charge Mode™ コントロール」>

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 アナログ制御からデジタル制御への流れが本格化し始めたのは、今から10年ほど前のこと。さまざまな半導体メーカーがデジタル電源に向けたマイコンやDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、専用コントローラICを製品化したことがきっかけだった。そうした背景の中、インターシルが手掛けるデジタル電源コントローラICは、マイコン・コアやDSPコアを使用せずに、ハード・ワイヤード回路で構成している点が特徴。リアルタイムの効率改善処理のような動作中の処理機能が組みやすく、設計の自由度を高められることができ、電源回路を簡単に設計できるといった3つのメリットを享受できる。

 同社「Charge Mode™ コントロール」は、ハード・ワイヤード回路を使って構成する点を踏襲しているが、電源制御アーキテクチャを一新した。