「DIC 放熱性に優れ温度の上昇抑制 両面接着テープ」


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用途例(イメージ)

 DIC(大日本インキ化学工業、中西義之社長執行役員)は、従来品より10倍の熱伝導性を高めた工業用両面粘着テープを開発した。

 今回開発した「DAITAC TCM─200NRW」は、街路灯向けの商品として、近々販売を開始する計画。

 同社の工業用両面粘着テープ(以下、工業用両面テープ)は、テレビやスマホ、パソコンなどの家電機器やIT製品内の部品接合に使われる両面テープである。

 軽く圧着するだけで部品を容易に接合できる強粘着性と接着信頼性が特徴で、これら製品や機器の生産効率化に貢献する。

 近年、製品や機器の高機能化ならびに薄型化・小型化の進展に伴い、部品の接合方法は、ねじや接着剤による固定から、工業用両面テープによる固定へと置き換えが進んでおり、使用量は増大している。

 また、省エネや脱水銀の観点から、照明や液晶ディスプレイのバックライトなどにLEDの採用が急速に進んでいる。

 品質の維持や長寿命化には、LEDにより発生した熱をいかに逃がすかが重要となっている。LEDの基板に放熱性の高いアルミ製を使用するが、基板との接合に同品を用いることで、接合という本来の機能に加えて放熱を促進することを実現した。

 液晶テレビ用バックライトでは従来、光源部のLEDに、ねじによる部品接合を行っていたが、同社の放熱性両面テープを使用することで、粘着層の厚みの均一化が図れ、大型化に伴う部品数の増大に対して、接合作業がより容易に行える。

 テープの貼り付け部分全体からの放熱が可能となり、温度上昇を抑える効果と熱によるLEDの劣化が抑制でき、長寿命化に貢献した。さらに優れた難燃性を付与することで、電子回路周辺でも安全に使用することができる。

 同社の強みは、粘着剤、フィラーなど原料から一貫した有機、無機のハイブリッド技術を備えており、ユーザーからの要求に応えることにある。放熱部品とヒートシンク間のギャップを埋めて空気層をなくし、熱伝導性を高めた熱伝導柔軟シートや、テープの中芯基材にアルミを採用し、熱伝導性を向上させたシートなどの製品を拡大する。

 SiC用も開発中 

 今後、自動車など需要が増加すると予想される次世代パワー半導体(SiC)用熱伝導粘着シートも開発中だ。