プリント配線板

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【写真1】自動車では、耐環境性に優れた
高信頼性プリント配線板が要求される
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【写真2】IC内蔵基板技術で4.6×5.6×1ミリ
サイズに小型化したブルートゥースモジュール

 プリント配線板は、成長分野に向けた新製品、新技術の開発が活発化している。スマホやタブレットなどには、ビルドアップ技術を高度化。高機能モジュール用は、部品内蔵基板や低温焼結セラミック(LTCC)基板の技術を採用。自動車、太陽光発電などの成長分野向けも高耐熱、大電流対応といった新技術もめじろ押し。さらに、フレキシブル配線板(FPC)は、配線自由度を一段と高めている。

 ビルドアップ多層板はコア層の両面に配線する層を積み重ねる工法が一般的だが、最近では全層レーザービアおよびフィールドめっきによる信頼性の高いエニーレイヤー基板がスマホなどで採用されている。L(ライン)/S(スペース)は50μm/50μm以下の微細化技術を適用。レーザービアのビア径は75μm以下に小径化。しかも基板厚みは、6層で0.3ミリメートル厚内外を実現している。

 高機能モジュールが、スマホなどの電子機器に数多く搭載されるようになった。そこで、使用される回路基板として部品内蔵基板、LTCC基板の技術が注目されている。

 部品内蔵基板は、基板内に受動部品やICを内蔵し、その上部全面に配線層が設けられ、様々なデバイスを3次元実装するもの。

 部品内蔵基板では、薄型化を追求したICだけを基板に内蔵するIC内蔵基板をはじめ、剛性に優れノイズへの耐性が向上し、しかも高い熱伝導率を持つため、ICチップなどから発生する熱を効果的に放熱できる銅コア内蔵基板など、主要各社が独自の技術を採用。

 LTCC基板技術も高度化。モジュール用の一般的なアルミナ基板に比べて800℃以下の低温で焼結できるため、抵抗、インダクタ、コンデンサなどを同時に焼結できる。

自動車向け、搭載点数増える


 自動車は、安全、信頼、快適などを求めて電子化が進展し、プリント配線板の搭載点数が増加している。パワートレイン系、車両制御系、ボディ系、情報通信系など、具体的なアプリケーションごとに技術ニーズが異なり、それぞれに最適に設計されたプリント配線板が供給される。自動車で最も強く要求されるのは高信頼性。車載ECUは、搭載環境が室内からエンジンルーム、さらにはエンジン直搭載へと変化することによって、耐熱性に優れたプリント配線板が要求される。しかも小型化の要求から、パターンスペックはこれまでのL/S=130μm/170μmから、同100μm/100μm、さらには同75μm/75μmへと微細化が進展するものと思われる。

 また、EV、HEVといったエコカーが普及し、しかもランプ類のLED化も進展。これらは、放熱基板や大電流基板を強く求める。そのため、金属ベース基板、金属コア基板、厚銅基板の搭載も進展している。

 太陽光発電は、ソーラーによって発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナが用いられる。そのため、大電流対応の厚銅プリント配線板が必要になる。

 一般的なプリント配線板の回路厚みが35μm内外であるのに対して、100―500μmという銅厚の回路を形成することで大電流への対応を可能にしたものが厚銅基板。GND、VCCとしての大電流回路はもちろん、IGBTやパワーMOSFET、ショットキーダイオードなど、発熱するパワーデバイスを搭載する回路で使用できる。

 FPCは、薄く、軽くて曲げが可能であり、配線自由度が高いという特徴が用途を拡大している。薄型化として両面FPCでは、薄いPIカバーフィルムと片面THめっき技術の組合わせで、片面配線部の厚み66μm、片面配線部(ケーブル部)の厚み34μmを実現した。超薄型ケーブルと高密度実装を両立し、スマホなどの低背化、軽量化に貢献する。薄型多層FPCでは、4層ビルド構造で、総厚0.19ミリメートルを実現した。また、微細化技術では、ロールtoロールによるセミアディティブプロセスで片面最小ピッチ25μmを実現した超微細FPCが実用化されている。

 自動車では、電子化進展に伴い、ワイヤハーネスの数量が増加し、総重量が重くなる。その代替としてFPCの利用が進展している。ライト、センサー、ATギアボックス、サイドターン、スイッチ、電圧監視など、搭載点数が増加している。