タムラ製作所NICTなど 次世代の有望パワーデバイス材料

酸化ガリウムエピウエハー開発

 情報通信研究機構(NICT)、東京農工大学、タムラ製作所などの研究チームは、次世代パワーデバイス材料として有望な酸化ガリウムエピウエハーの開発に成功した。

 タムラ製作所からのカーブアウト(技術切り出し)ベンチャーであり、NICT技術移転ベンチャーでもあるクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市、倉又朗人代表取締役社長)が事業化。10月から大学・研究機関・メーカーなどへ供給を開始した。

 同社は、本格的な市場の立ち上がり時期として20年頃を想定。16年度6千万円、20年度7億円、26年度80億円の売上げを目標とする。

 酸化ガリウムは日本発の新しい半導体結晶材料で、バンドギャップが大きく、高品質・大型の単結晶基板を安価に製造できることから、近年、パワーデバイス用材料として注目される窒化ガリウム(GaN)と炭化ケイ素(SiC)を上回る性能を持つ次世代パワーデバイス材料として期待されている。

 6千Vを超える極めて高い耐圧性と低損失性を併せ持ったダイオードやトランジスタを実現できる可能性があり、電気自動車、電車の電源や送電系統システムの設計に大きな変革をもたらすことが期待される。

 パワーデバイス用エピウエハーには、エピ表面の平坦性と低キャリア濃度領域での濃度制御が求められる。

 エピ成膜方法としてオゾンMBE法を採用。結晶面方位、ドーパント種、成長温度、原料供給量などの成長パラメータを最適化した。

画像1
 このエピウエハーを用いて、良好な特性のショットキーバリアダイオードやトランジスタを作製できることを確認した。

 当面は研究開発向けの製品を出荷しながら、低コスト・大口径ウエハーの量産技術の開発を進めることで、酸化ガリウムパワーデバイスの研究開発全体の加速に貢献する。

 同研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)省エネルギー革新技術開発事業(研究開発期間:11−13年度)の支援を受けて実施した。