大陽日酸/東邦化成

長尺カーボンナノチューブを添加し導電性能を備えた熱可塑フッ素樹脂を世界初開発

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CNTを配合した高機能フッ素樹脂成形加工品
[引用元:東邦化成株式会社]

 大陽日酸とダイキン工業のグループ会社である東邦化成(奈良県大和郡山市、三杉嘉彦社長)は、大陽日酸が持つ長尺カーボンナノチューブ(CNT)を活用し、世界で初めて導電性能を備えた熱可塑性フッ素樹脂(PCTFE/ポリクロロトリフルオロエチレン:トーフロン)を共同開発。今年12月から受注を開始する。

 大陽日酸が持つフッ素樹脂へのCNT均一複合化技術と、東邦化成が所有する成形加工・応用技術を活用した。

 半導体製造装置や薬液供給関連では、高洗浄度・高耐薬品性が求められており、これまで機能性付与が困難であった同材料に、安定的な導電性および優れた耐薬品性・クリーン性を付与した。

 従来のカーボン材料(カーボンブラックや炭素繊維)を添加した複合樹脂材料は、半導体部品、自動車部品など多くの産業分野で利用が検討されているが、帯電防止や熱伝導性の向上には、5―30重量%程度も添加する必要がある。このため成形体の加工不良や割れ、樹脂本来のしなやかさが損なわれるだけでなく、半導体分野においてはカーボン材料の脱離などによる異物混入に加えて、機械的特性・耐薬品性の低下に対する懸念があり、多くの課題があった。

 これらに対し、大陽日酸と東邦化成の得意とする技術を合わせることで、従来の帯電防止・導電性フッ素樹脂で課題であった「高機械的特性」「高清浄度(クリーン度)」「高耐薬品性」を実現した材料および成形体の開発に成功した。

 今後、同製品を20年度50トン/年を目標に、製造体制の整備を行うとともに、高機能性を付与する技術・用途開発を共同で進め、半導体のさらなる高性能化(微細化、3次元化)に伴う課題を解決し、半導体産業の発展に取り組んでいく。