福島ロボットテストフィールドの使用開始


 18年度から「福島ロボットテストフィールド」の使用が開始された。需要が急増しているドローン(無人航空機)、災害対応ロボット、水中対応ロボットなど、実際の使用環境を再現しながら研究開発、実証試験、性能評価、操縦訓練を行う、世界でも貴重な施設。東京から車で約180分の福島県南相馬市・復興工業団地内に、建築面積約5200平方メートル・延べ床面積約7600平方メートルを所有する。福島イノベーション構想の一環だ。

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 4月18−20日に千葉・幕張メッセで開かれた「第4回国際ドローン展」では、ドローンの産業利用に焦点を合わせ、実用化に向けた取り組みが多く紹介された。

 ドローンの用途は設備点検・メンテナンス、物流・輸送、警備・監視、災害対応、測量、撮影、農業など、多方面にわたる。それぞれの用途に最適な設計・構成技術、設備機能の充実など技術的な課題も多く抱えているのが現状だ。

 操縦士の養成・確保など急速な需要増に応える必要も出てきている。ドローン運航での安全・安心・効率的運用のため運航管理の重要性も増し、実際の使用環境を再現しながら研究開発、実証試験、性能評価、操縦訓練を行う福島ロボットテストフィールドは、貴重な知見が得られる施設と期待されている。

 施設には、無人航空機エリア、水中・水上ロボットエリア、インフラ点検・災害対策エリア、開発基盤エリアの4エリアが備えてある。無人航空機エリアには、国内最大となる飛行空域、滑走路、緩衝ネット付き飛行場において、基本的な飛行から衝突回避、不時着、落下、長距離飛行など様々な試験ができる環境が整っている。

 NEC未来都市づくり推進本部では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務として他企業と共同で、安心・安全・効率的に多数のドローンが飛び交う世界の実現を目指す。

 同社は、現行の航空機などの管制システムで国内トップクラスのシェアを占めている。その実績をベースとしてドローン運航管理サービスを研究開発中だ。

 ドローンの運航を管理する事業者、物流、災害分野などで活用する事業者、有人航空機を運航する事業者、パイロットなどを対象とする。ドローンの飛行・空域情報を集中管理し、安全で効率的なドローン活用をサポート。同委託事業の実施期間は3年間で、「福島ロボットテストフィールドを有効に活用する」と同社担当者は語った。

 エアロネクスト(東京都渋谷区、田路圭輔社長)は、ドローンやマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を実現する会社。飛行中のドローンの重心を最適化する重心制御技術に強みを持つ。
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エアロネクスト社の次世代ドローンの飛行デモ

 同社は同展示会で次世代産業用ドローンの紹介、デモ飛行を行った。上下左右に伸ばしたアームの先にカメラやセンサーを取り付け、インフラ検査、測量などで、器具を隙間へ差し入れたり、対象物へ最接近することを可能とした。同社は、宅配専用ドローンとして医療や精密機器の輸送、食事の配送、農薬散布など、あらゆる分野へドローンを提案する計画。