放送業界の新型コロナ対応

特別編成や無料放送実施へ

 新型コロナウイルス感染症の拡大に歯止めがかからない状態が続く。放送業界も放送と連動したイベントの中止や番組制作におけるロケ地変更など、様々な対応に追われる。一方で、感染拡大防止のための在宅勤務や子どもの休校で家にいる人が増え、テレビ番組の視聴率が上がっているようだ。YouTubeなど動画配信サイト(OTT)の利用率も伸びを見せているという。今後、外出自粛が長期化すると、テレビなどの視聴率がさらに上昇する可能性がある。

 3月上旬から全国の小・中・高校や特別支援学校が臨時休校になったことを受け、NHKをはじめ、CATVなどの有料多チャンネル放送事業者は一体になり、感染拡大防止の一環として特別企画や無料放送を開始するなど、積極的な対応策を行っている。

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 NHKはEテレ(教育放送)を中心に総合テレビ、衛星放送、ラジオ、インターネットで、小学生から高校生までの在宅中の児童・生徒に学ぶ機会や、日々の暮らしに潤いと楽しみを感じてもらえるコンテンツを特別編成。さらに、日本民間放送連盟のラジオ委員会と共同で、昼間の時間帯にラジオを聴いてもらうようPRするキャンペーン「#いま聴いてほしいラジオ」を実施中だ。

 CATV最大手のジュピターテレコム(JCOM)は、コミュニティチャンネル「JCOMチャンネル」を特別編成し、子ども向けの番組を無料で放送。札幌の「JCOMチャンネル札幌」で9日からアニマルプラネットの「動物なぜなに研究室」、カートゥーン ネットワークの「ぼくらベアベアーズ」、キッズステーションの「子育て TV ハピクラ」などの放送を始め、全国で順次展開している。

 イッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)は、9日からディズニージュニア番組を一部無料で「イッツコムチャンネル10」のサブチャンネルにて視聴可能とした。「イッツコムチャンネル11」では休校中の小中高校生向けにアニメ、音楽、動物、バラエティ番組などを放送。そのほか、自宅で新型コロナウイルス感染症の関連情報などを入手しやすい環境づくりとして、TBS NEWS、日テレNEWS24、BBCワールドニュース、CNNjの四つのニュース専門チャンネルの協力を得て、5日から無料放送。

 コミュニティネットワークセンター(CNCI)は、9日からアニメ専門放送チャンネル(アニマックス、キッズステーション、カートゥーンネットワーク)をCNCIグループのCATV11社に無料で配信。14日からは「MUSIC ON! TV」「100%ヒッツ!スペースシャワーTV プラス」「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」「BBCワールドニュース」「日テレNEWS24」「釣りビジョン」「テレ朝チャンネル1」の8チャンネルをCNCIから配信のCATV20社で無料で視聴できる。

 スカパー!は、キッズステーション、アニマックス、ディズニー・チャンネルなど子ども向けチャンネルやドキュメンタリ、映画、ドラマなどの専門チャンネルを含む全24チャンネルを無料放送。

 各社では、特別番組企画以外にも対策を講じ、各サービス料金などの支払い期限を延長する対応も進めている。

 JCOMとイッツコムは支払い期限が3月1日以降の基本料金などについて、申し出に基づき5月末日まで支払い期限を延長する。

 中部テレコミュニケーション(CTC)は、支払い期限が2月25日以降の料金を、申し出に基づき5月末日まで延長。支払い期限が5月末日以降となる料金に関しても支払い期限を延長するかを検討するという。

 ケーブルテレビ富山(CTT)は、新型コロナ感染拡大の影響による休業や失業で一時的にサービス料金の支払いが困難な顧客に4―5月分の支払い期日をそれぞれ1カ月間延長する。