機器・コンテンツ輸出で5Gをリードする韓国

 世界の5G市場で先行しているのは韓国、と業界関係者は鼻高々。世界最初の5Gサービス開始を実績に通信事業者の5G用コンテンツが国外で採用され、5Gを使った様々なビジネスモデルを今後5Gサービスに参入するアジアの通信事業者に提供していこうとしている。

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 一方で韓国の機器や部品メーカーも今後急増が見込まれる5G市場をめざす。特に世界市場に照準を当てているのがサムスン電子。中国、韓国といった5Gの先頭集団だけでなく、米国、カナダ、日本市場を狙っている。

 5Gで強いファーウェイ(華為技術)が米国市場で閉め出されている折、北米市場は同社にとってチャンスだ。

 サムスン電子はこれまでにベライゾン・コミュニケーションズ、AT&T、USセルラー、KDDIなどへ5G用機器を供給している。

 特に同社が5Gの重点市場と位置付けている米国では今年1月、通信網構築・コンサルティング企業のテレワールド・ソリューションズ(TWS)買収で合意した。TWSのサービスを活用して米国で通信事業者による5G網構築を支援していくことになる。

 通信用半導体に強い米マーベル・テクノロジーズとは5G基地局用プロセッサで提携した。両社は双方の技術を持ち寄り、5G用半導体の世界市場開拓をめざす。

 サムスン電子は5G機器の世界シェア15%で世界第4位(19年末現在)。20年中には20%にまで引き上げたい意向だ。

 通信基地局向けアンテナメーカーのKMWも国外市場拡大をめざす1社。中国移動(チャイナモバイル)から23万台の5G用基地局を受注した中国の通信機メーカーZTEへアンテナフィルタを供給することが決まった。

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米シカゴ市内に設置された
スプリントの5G用MIMO

 ZTEはファーウェイ、エリクソンとともに中国移動への基地局納入業者に指定されているが、KMWはZTEと基地局用アンテナ関連機器で長年の関係を築いてきた。

 KMWはノキアとも複数のアンテナを使って通信効率を上げるMIMO(マイモ)の共同開発を展開している。

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RFHICのGaNモジュール

 仁川市を拠点とするエース・テクノロジー(ACE)もエリクソンへ5G用無線機器の供給で協議中とされている。ACEはこれまでにエリクソンとは協業関係にあり、今後とも5Gでの関係強化を図っていきたいとしている。

 GaN(窒化ガリウム)トランジスタやマイクロ波部品メーカーのRFHICは長年ファーウェイとの関係が強い。同社売上げの50%以上は中国企業のため、今後は中国以外の供給先を増やしていく。(ソウル支局)